赤ちゃんのミルクアレルギー増加 治療用ミルクで回復
[赤ちゃんのミルクアレルギー増加 治療用ミルクで回復]
(朝日新聞 2010年10月27日)
体に合わないミルクを飲むことで、赤ちゃんが血便や嘔吐などの症状を起こす
「新生児・乳児消化管アレルギー」が増加し、少なくとも500人に1人の
割合で、毎年全国で2千人以上が発症している可能性のあることが、厚生
労働省研究班の調査で分かった。
稀に重症になる危険はあるが、アレルギー用の市販ミルクで治療できる。
研究班は診療指針を作って公開、異常があれば、医師への受診を呼びかけて
いる。
このアレルギーの半数は生後1〜7日で起こる。
症状は嘔吐や下痢、血便が中心で、多くはミルクの中のタンパク質に反応して
起こるようだ。
原因は牛乳から作ったミルクが4割、母乳と人工乳との混合も4割、母乳
だけも1割以上あった。
食後まもなく、じんましんや呼吸困難になることで知られる食物アレルギーと
違い、食後数時間でじわじわ症状が出るのが特徴。
体重が増えなくなることが多い。
治療では、アレルギーの原因となるタンパク質を分解したミルクなどに切り
替えれば、7〜8割が回復する。
これらは、じんましんなどを起こすミルクアレルギー用に、粉末で850グラム
3千円程度で一般に広く売られている。
このミルクで治らない赤ちゃんには、タンパク質をさらに細かくした特殊な
ミルクを使えば、大半は治療できるという。
これは医師が処方するほか、340グラム3千円ほどで市販もされている。
日本小児科学会など関連学会での報告例は、1980年代〜1995年ごろは年に
0〜5例程度だったが、2000年ごろから、10〜60例ほどに増加。
2003年に埼玉で死亡例、2008年には愛知で腸が壊死した重症例が報告
された。
研究班(主任研究者=国立成育医療研究センターの野村伊知郎医師)は東京
都内すべての産科、小児科、総合病院、計約1,085施設にアンケート(回答率
約47%)したところ、2008 年9月〜2009年8月に103例の発症例が確認
された。
この数字をもとに出生数から試算すると、発症率は0.21%で、全国では毎年
生まれる赤ちゃん約100万人のうち、2千人以上が発症している可能性のある
ことがわかった。
急患患者の受診が多い大学病院などの回答が少なく、実際の発症率はさらに
高い恐れがあるという。
原因は不明だが、子どもに重症のアトピー性皮膚炎などのアレルギーも増えて
いることから、研究班は発症者の実数が増えているとみている。
研究班は、治療に役立てるため、診断治療指針も作成した。
赤ちゃんが
・嘔吐や下痢、血便などの症状を起こし、体重が増えない
・検査で感染症や潰瘍性大腸炎など、他の病気ではないことを確認
・医師が経過を見ながらミルクを換えて症状が改善
など診断の手順を示した。
ホームページ(http://www.fpies.jp/)に指針を掲載、病院からは診断例の
報告を募っている。
野村医師は「すぐに命にかかわることは少なく、勝手に母乳をやめたり、
素人考えでアレルギー用のミルクを使ったりすると、栄養不足などから発育
不良になりかねない。適切に診断、治療すれば大丈夫なので、まずは医師に
相談して欲しい」と話す。
(小坪遊)
http://www.asahi.com/health/news/TKY201010260594.html