歯科治療で血管炎「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病」が治癒
[歯科治療で血管炎「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病」が治癒]
(共同通信 2008年10月28日)
「歯科治療で血管炎が治癒 鼻炎も重要、病巣感染背景」
<小児期からのケアを>
小児の血管炎の一種で、再発や腎炎への進行が問題になる「ヘノッホ・
シェーンライン紫斑病」の多くのケースが、虫歯や根尖性歯周炎など歯科の
病気や、副鼻腔炎など耳鼻科の病気の治療によって治るとする研究結果が
まとまった。
背景には、細菌やウイルスによる炎症が離れたところに影響を及ぼす「病巣
感染」があるといい、病気を慢性化させないケアが小さいうちから重要な
ことを示している。
<アジアで高頻度>
研究の中心となった仙台赤十字病院(仙台市太白区)の永野千代子小児科
部長によると、「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病」はアレルギーが絡んだ
原因不明の病気とされ、5〜6歳が発症のピーク。
患者には隆起した出血斑がみられるほか、関節の痛みや腹痛、腎炎を合併する
場合もある。
日本を含むアジアで頻度が高いという。
永野さんが病巣感染との関連に興味を持ったきっかけは、1999年に担当した
当時11歳の男児。
「血尿などがあり感染性の腎炎を疑ったが、虫歯だらけで口内の衛生状態が
非常に悪いことに気付き、歯科に診察を依頼した」という。
永久歯のうち13本が、歯髄にまで虫歯が及んで起きる根尖性歯周炎だと
分かり、抗生物質による腎炎の治療と並行して虫歯を治療した結果、血尿
などは治まった。
ところが、14歳の時に再び虫歯ができると、男児は血尿やタンパク尿も再発
した。
<70%で歯の病気>
そこで永野さんらは1999年以降、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病と診断
した40人について、歯科や耳鼻科と協力して背景に潜む病巣を検討した。
70%に当たる28人には虫歯や根尖性歯周炎があり、うち16人は副鼻腔炎や
中耳炎、扁桃炎なども合併していた。
一方、歯の病気はなかったものの副鼻腔炎だったのは5人で、うち1人は
扁桃炎を合併していた。
「虫歯や副鼻腔炎で細菌などの抗原に慢性的にさらされると、病巣感染の
主体と考えられる扁桃に障害が起き、免疫機能に異常が生じる。ヘノッホ・
シェーンライン紫斑病などはこうして発病したのでは」と永野さん。
治療は抗生物質を基本に、腹痛や関節痛のある患者にはステロイド剤も投与。
根尖性歯周炎は、乳歯の場合は抜歯することが多いが、永久歯に影響が及び
そうな場合などは抜かずに治療した。
このほか、患者全員と家族で口の中の洗浄や歯磨き、食事指導も実施した。
<早期に積極治療>
この結果、40人中31人で紫斑病はそのまま治癒。
9人は数カ月後に再発するなどしたが、扁桃の摘出やアデノイドの除去手術で
完治し、その後は1人も再発していないという。
「従来の紫斑病治療は安静を基本に、腹痛や関節痛がひどい場合は薬を
投与し、腎炎に至らないようにする保存的なもの。しかし、早期から病巣を
積極的に治療すれば病状は大きく改善する」
(永野さん)。
仙台赤十字病院の治療成績は腎炎発症率、再発率とも8%。諸外国はそれぞれ
40〜54%と15〜35%だといい、その差は大きい。
永野さんは「子どもの虫歯や副鼻腔炎などの感染症は大人に比べ治りはいい。
日本でも治療や予防に力を注ぎ、病巣感染を“上流”で食い止める努力をする
べきだ」と話している。
(共同通信 江頭建彦)
http://www.47news.jp/feature/medical/news/081028honki.html
————————————————–
<病巣感染(歯性病巣感染)キーワード目次>