Dr.中川のがんから死生をみつめる:食道に悪い酒、たばこ
- 2010年 8月 11日
- コメントを書く
[Dr.中川のがんから死生をみつめる:食道に悪い酒、たばこ]
(毎日新聞 2010年8月11日)
サザンオールスターズの桑田佳祐さん(54)に早期の食道がんが見つかり、
手術を受けました。
桑田さんと同様、健診で早期の食道がんを発見し、今年1月に手術を受けた
指揮者の小澤征爾さん(74)は、クラシック音楽祭の公開リハーサルで、
7カ月ぶりにタクトを振りました。
会見では「きょうは第2の人生の初日」と復帰を宣言、桑田さんにも、
「絶対大丈夫!」と力強くエールを送りました。
一方、小澤さんは体重が15キロも落ちて、「着られる服がなくなった」と
こぼしました。
開胸手術では、食道を取り除き、胃をつり上げて、食べ物の通り道として
使います。
こうすると胃がんの手術と同じように、「食物を一時的にためて、効率よく
栄養を吸収できるように少しずつ小腸へ送り出す」という胃の本来の役割が
損なわれてしまいます。
王貞治さんが胃がんの手術のあと「激やせ」したように、どうしても体重が
減ってしまいます。
この点、放射線治療と抗がん剤治療を同時にする「化学放射線治療」では、
胃の働きは失われませんから、体重も維持されることがほとんどです。
日本では、年間およそ1万8,000人が食道がんになっています。
男性患者は女性の6倍と、圧倒的に男性に多いがんで、60代をピークに
高齢者に多く見られるので、桑田さんはやや例外といえます。
男性に多い理由は、お酒とたばこです。
特に、お酒で顔が「赤くなる」人がたくさん飲むと、食道がんの危険が高まり
ます。
赤くなりやすい人がお酒を控えるだけで、日本人の食道がんが約半分に減ると
いう計算もあります。
この問題は次回くわしくお話しします。
また、お酒とたばこを一緒にやると、さらにリスクは高まります。
濃いお酒をストレートで飲むのもよくありません。
辛い食べ物は、あまり心配はいりませんが、熱いお茶で食道がんが増えると
いうデータがあります。
熱い飲食物が食道の粘膜に炎症を起こし、がんのリスクを上げると考えられて
います。
やはり、熱いものは、少し冷まして口にした方がいいでしょう。
その点、僕は猫舌なので安心のようです。
(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)
http://mainichi.jp/select/science/news/20100811ddm013070140000c.html