骨髄移植とは
- 2011年 2月 18日
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[骨髄移植/骨髄バンク]
(Wikipedia)
<レシピエントの手術手順>
移植に先立って、患者の造血組織及び腫瘍化した細胞を根絶するため、
致死量を超える大量の抗がん剤投与及び放射線照射が行われる。
これを前処置といい、患者の造血機能を完全に破壊する為、その後必ず移植を
行わないと患者は死亡してしまう。
その上で、ドナーの骨髄液(造血幹細胞)を静脈から注入する。
移植といっても、外科手術的操作は行わない。
順調にいけば2週間ほどで輸注したドナーの造血幹細胞が生着し正常な血液を
造り出すようになる。
<ドナーの選出>
登録後、移植希望患者とHLA型が適合すると、ドナー候補者として選ばれた
ことを知らせる書類が骨髄移植推進財団(日本骨髄バンク)から郵送される。
登録者自身の提供意思及び家族の意向・健康状態や骨髄提供へ向けた日程
などについてのアンケートを返送後、意志・意向と提供条件が整っていれば、
病院でコーディネーターや医師と面談があり、詳しい説明と問診・採血を
行う。
検査結果に問題がない複数候補の中でもっとも提供者として適していると
患者側の主治医が判断したドナー候補が最終的なドナー候補として選ばれる。
最終的なドナー候補者に選ばれると、ドナー候補者本人とその家族および
弁護士が出席した上で最終同意の確認が行われる。
この段階まではいつでも提供を取り消すことができるが、最終同意書に同意
した後は取り消すことができなくなる。
最終同意書が締結されると、病んだ骨髄細胞をドナーの骨髄細胞に置き換える
ためにレシピエント(骨髄を受け取る側の移植受容患者)の骨髄細胞は
放射線や薬品で全て破壊されるので、最終同意後にドナーが移植を拒否
すると、移植を予定していた患者は生命を保てないためである。
<提供手術>
骨髄は、大量の骨髄があり採取しやすい腸骨(骨盤の1番大きな平たい左右
一対の骨である)から採取する。
腸骨の背中側のウエストより少し下の部分に、ボールペンの芯の太さ程度の
採取針を穿刺して骨髄液を吸引し、全身麻酔下で行われる。
採取する骨髄液の量は、レシピエントの体重キログラムあたり15ミリリットル
が目標となる。
一方でドナーから採取できる上限はドナーの体重およびヘモグロビン量などに
よって決定され、この上限を超えない範囲で出来るだけレシピエントの
希望量に近くなるようにする。
ヘモグロビンが十分ある場合、ドナーの体重1kg あたり20ml程度が上限と
なる。
このためドナーの体重は、ある程度レシピエントより少くてもよいが、
少なすぎる場合はレシピエントにとって骨髄液の量が不十分となる。
ドナー候補が複数いたとして採取量を取るか適合性を取るかといったことは
レシピエント側の判断であるが、いずれにせよ骨髄バンクを介した移植では
ドナーの安全が最優先されるので上記の採取量上限を超えることはない。
骨髄採取によりドナーが貧血に陥らないために、ドナー自身の血液を事前に
採取保存しておき、採取当日返血する。
提供のための手術は1~3時間かかり、4日~1週間程度の入院が必要に
なる。
稀ではあるが入院期間は手術の予後が不良である場合などには1週間以上に
長引く場合もある。
骨髄採取や麻酔に伴う合併症として、一過性のものとして発熱や吐き気、
頭痛、気管チューブを抜いた後ののどの痛みや、尿道カテーテルを入れた
ことによる尿道の痛み、吐き気、37~38度程度の発熱や血圧低下や不整脈
などが報告されている(いずれの場合も時間の経過と共に回復している)。
採取部分の痛みは個人差があり1~7日残ったという提供者が多い。
針を刺した部分の化膿や出血があることもある。
<ドナーの後遺障害等の危険性と保障>
後遺障害の発生は確率的には低いもののゼロではない。
骨髄提供後に血腫ができたり、知覚障害や痺れ・痛みが残存するなど手術後
ドナーに後遺症が残るケースが報告されている。
また、過去に海外で3件(血縁者間2例、非血縁者間1例)、日本で1件
(血縁者間)のドナーの死亡事例が報告されている。
ただし日本の1件は骨髄バンクを介さない血縁者間で行われたものであり、
日本骨髄バンクが関与した11,997件の移植の中に死亡事例は無い(2010年
7月末現在)。
移植医療全てにいえることであるが、ドナーの協力や家族などの理解が
無ければ成り立たない医療であるのでドナーの安全は最優先に考慮されるが、
医療行為である以上リスクがないとは言いきれない。
ドナーにはレシピエントの保険料負担により加入する骨髄バンク団体障害
保険があり、適用されれば300万円~1億円の補償金あるいは入通院給付金が
支払われる。
日本骨髄バンクが関与した約1万2,000件の移植の中で、骨髄バンク団体障害
保険の適用事例(C型肝炎、神経障害、骨膜損傷、ヘルニア、咽頭肉芽腫、
腎炎、骨膜障害等々)は109件(2010年3月末現在)あるが、時間の経過と
ともにほとんどの事例が回復している。
<日本のドナー死亡例について>
日本では、骨髄バンクを介さない血縁者間で行われた移植でドナーの死亡
事例が1件あるが、原因は腰椎麻酔の合併症によるものである。
日本骨髄バンクでは骨髄採取は原則として全身麻酔下でおこなわれるので、
腰椎麻酔は原則として行われない。
<ドナー側の負担>
手術から入退院までの費用もドナーには一切かからないが、提供によって休業
しても休業補償はなく、またドナーが入院することによって発生する可能性の
ある、家族の介護、子どもの保育、家族の交通・食事等のドナー本人以外への
費用・労力発生には補助は無い。
<骨髄バンクの課題>
現状ではHLA型が適合したドナーが最終同意前に提供を断るケースが少なく
ない。
原因として、以下のことが挙げられる。
1. 家族から反対されたなど、周囲の理解が得られない
2. 仕事を休みにくく、休業補償がない
3. 後遺症が残存する可能性がある
4. 家族の介護、子どもの保育、家族の交通・食事等のドナー本人以外への
費用や労力負担について補助が無い
5. 全身麻酔による手術を行うため、行われる処置が全身麻酔を経験した
ことのないドナーに関しては予想以上に大がかりに感じられる。
ドナーは手術のみならず、周囲の説得や時間の調整などの負担を強いられる。
確認検査や健康診断、最終同意面談も、原則として財団指定の採取病院での
実施となり、主に平日のみの対応となる。
骨髄バンクはドナーや勤務先などに対し協力を求める姿勢をとっているが、
ドナーの負担を軽くするような検討は今のところなされていない。
原則的に、ドナーとレシピエントはそれぞれ異なる医療施設を利用する。
ドナー側の事前の各種検査および手術は、ドナーの居住地に近い医療施設にて
行われる。
採取された骨髄液は速やかにレシピエントのもとへと輸送されるが、事故に
より到着しない恐れもある。
2002年には骨髄バックの破損により、提供された骨髄液を流出させる事故が
起こった。
<個人情報の取り扱いについて>
骨髄バンクのドナー登録は、中央骨髄データセンターに対して行うもので
あり、骨髄バンクが管理しているわけではない。
したがって、ドナー登録を取り消しした場合でも、骨髄バンクが所持している
個人情報は削除されない。
また、取り消し後も提供したドナーに対して、ドナーリンパ球輸注療法
(DLI)の協力依頼や患者からの手紙が届く可能性がある。
提供後に住所が変わってしまったために、旧住所に郵便物が届けられ、個人
情報漏洩となったケースも存在する。
<コーディネーターの対応について>
一部の心ないコーディネーターにより、ドナーやその家族とトラブルになる
ケースが発生している。
家族は、ドナーが骨髄を提供することについて快く感じないことが多く、
それらの気持ちに配慮出来ないコーディネーター側の対応が、結果として
家族の顰蹙を買い、コーディネート終了となる場合もある。
また、提供後の健康診断を受診するようにと、ドナーに対して頻繁に電話で
催促したり、場合よっては「昼休みを使って病院まで来てほしい」、「有給や
フレックスを使って時間を作れないか」などの対応がなされる場合もある。
ドナーは、仕事の都合などでなかなか時間を作れない事が多く、最終的に
術後検診を受診出来ないまま、コーディネートが打ち切られてしまうケースも
多々見受けられる。
<過去に起こった問題事例>
ヘモグロビン濃度が基準を下回るドナーが、チェックミスにより検査をすり
抜け、自己血採血を済ませ、さらに、採取直前までいったものの、最終的に
採取は中止されたといった事例があった。
骨髄提供手術のための入院の際に、院内感染によってC型肝炎を発症し、
職場復帰に数か月を要した事例があった。
2007年3月、ドナー登録者データの登録作業の際に誤って別人のHLA型を
入力するミスがあった。
2009年4月骨髄液採取キットの製造メーカー変更の際、製品仕様の違いに
よりのフィルター部分のろ過未完了の骨髄液(約400mL)を過小算出し、
その分がドナーから過量採取となった事例が1例発生した。
該当ドナーに健康被害は発生しなかったものの、同件について同月中に採取
担当医師各位宛に骨髄移植推進財団から緊急安全情報が通達された。
骨髄バンクの元総務部長が、常務理事(当時)のパワハラやセクハラを理事長
宛てに報告したところ解雇され、東京地裁に訴えをおこした。
裁判所は、元総務部長の訴えをほぼ全面的に認め、骨髄バンクに対し、解雇の
無効とその間の賃金、及び慰謝料50万円の支払いを命じた。
なお、本件については東京高等裁判所にて和解し解決している。
ドナーに対して、骨髄採取時の全身麻酔後に実施する気管挿管について、
訓練と称して救急救命士に実施させていたことが発覚した。
麻酔科医が、手術前にドナーの病室を訪れ、救命士のモルモットになるよう
ドナーに説明を行い、同意書にサインをもとめていた。
なお、本件について担当主治医や骨髄バンクは認識しておらず、ドナーからの
報告で事実が明るみに出た。
日本麻酔科学会から、「バンクドナーを対象とした、救急救命士による気管
挿管の実習は容認できない。」との回答を受け、骨髄バンクは各採取施設の
麻酔科医及び責任医師宛に通達した。
