カテゴリー : 法歯学

歯科情報のDB化目指す 災害時の身元確認に備え

[歯科情報のDB化目指す 災害時の身元確認に備え]

(中国新聞  2011年1月14日)


指紋やDNAと並んで身元の確認に有力な歯科情報をデータベース(DB)化
し身元確認の新しい制度をつくろうと、歯を鑑定する警察歯科医らが取り
組んでいる。

1995年の阪神大震災でも多くの歯科医が身元確認に奔走したが、大半が
手作業だった。

今後の大規模災害などに備え、身元確認の迅速化を目指す。


<金歯から特定>
1995年1月25日、阪神大震災発生から約1週間後の王子剣道場=神戸市
灘区。
警察歯科医だった住谷道夫(69)は12人の遺体を調べていた。
カルテやエックス線写真のない50代男性は1枚のスナップ写真が手掛かりに。
遺体の前歯に金歯を発見、写真の中で笑う男性の金歯をルーペで見て同一と
確認し同じ男性と断定した。

阪神大震災では、兵庫県警察歯科医会の歯科医延べ159人が実質約10日間で
68人の身元を明らかにした。

住谷さんは「故人の尊厳を守るのが身元確認。一刻も早く遺族に返した
かった」と振り返る。


<PCで自動照合>
1985年の日航ジャンボ機墜落事故で亡父が身元確認に尽力した群馬県
高崎市の歯科医小菅栄子は2007年、東北大の青木孝文教授(情報工学)と
協力し歯のエックス線写真を利用した身元確認システムを開発した。

同事故で全員の身元判明に要した日数は約3カ月。
大規模災害に備え手作業では膨大な時間がかかる危機感が開発の背景にある。

生前に撮影した歯のエックス線写真と遺体の写真をパソコンで自動照合する
仕組みで、現在、歯科情報をDB化する必要性を各地で訴えている。

小菅さんは「昼間に大地震が起きデパートなどが倒壊すれば、身元確認は阪神
大震災の時よりも困難。社会の財産として歯科情報の集約が必要だ」と強調
した。


<個人情報の壁>
生前の歯科情報のDB化へ向け、大きな課題は個人情報保護法の壁。
日本歯科医師会の柳川忠広常務理事は「実現には法改正が必要」とした上で
「死因究明制度も含め国民的理解が得られる形で議論したい」と話す。

警察庁の死因究明制度の在り方を検討する研究会も2010年7月の中間
とりまとめで「身元確認迅速化のため、歯科所見のDB化の実現が望ましい」
と記載、実現への機運が高まりつつある。


http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201101140129.html   





無縁仏 家族へ帰したい 歯のデータ登録を模索

[無縁仏 家族へ帰したい 歯のデータ登録を模索]

(沖縄タイムス  2010年12月16日)

<判明に有効も予算の壁>

「遺族の元に帰してあげたい」と、全国の歯科医の間で身元検索ができるよう
生前の歯科情報をデータベース(DB)化しようとする動きがある。

2009年までの過去15年間、身元不明のまま、無縁仏として供養された人は
県内で101人、全国では1万6,765人。
自殺や、家族と縁が切れてひっそり最期を迎えるなど、警察庁の身元不明者
リストからは1人1人の孤独が浮かび上がる。

ただ、DB化には法整備や予算が課題だ。
(平島夏実)


遺体の発見現場に駆け付けた警察官は、まず服装や所持品、身体の特徴を
各警察署に伝える。
捜索願が出ている人物に似ていれば、遺体を遺族に見てもらう。

暑い沖縄では、遺体が白骨化した状態で見つかるケースも少なくない。
指紋やDNAによる鑑定が難しい場合、「身元解明の大きなヒント」になるのが
残存率の高い歯だ。
警察官は、虫歯の治療痕や抜歯痕、入れ歯の有無なども確認。
県内の歯科医約440人に伝え、受診患者のカルテと照合してもらっている。

ただ、県歯科医師会によると、歯科情報による身元判明率は約10%と低い。
警察から提供される遺体の口腔内写真が白黒で不鮮明だったり、歯科医院に
あるカルテの保管年数が切れて破棄されたりすることが一因だという。



<事故の衝撃>
群馬県検視警察医で歯学博士の小菅栄子さん(39)=高崎市=は、歯の
エックス線画像やデンタルチャート(歯の状態を記号化したもの)のDB化を
研究してきた1人だ。

原点は、中学生のころ目の当たりにした、1985年8月の日航機墜落事故。
40度近くに達した体育館で、歯科医の父親が遺体の身元確認に奔走する姿に
衝撃を受けた。
「歯科医の相手は診察に来る患者さんだけじゃない」ことを知った。


DBは、大規模な事故や災害にも有効。
山火事が頻発する豪州のビクトリア州では人口の92%が生前の歯科情報を登録
しており、歯科情報による身元判明率は約97%に上るという。



<法的な課題>
同州の取り組みは「コロナー(検視官)制度」に基づくが、現在の日本では
法的根拠が見つからず、DB化の予算も課題だ。

だが、多くの遺体発見現場に足を運んできた県警幹部は「今後、不況といった
理由で公園生活などを強いられる人が増えれば身元解明はますます難しくなる
だろう」と危機感を募らせる。

「歯科情報は、本人と家族を結び付ける『最後の絆』。身元不明社会にしたく
ない」
歯科医たちと警察の願いだ。



<ことば>無縁仏
身元を特定できなかった遺体は、警察が事件性なしと判断した後、遺体発見
場所の市町村が無縁仏として火葬、納骨する。
遺族が引き取りを拒否した場合や、継承者が絶えてしまった墓の遺骨も
無縁仏として扱われる。
県内には旧盆や清明祭の時に慰霊祭を行う自治体もある。


http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-12-16_12880/    

感謝状:長崎海保、県警嘱託歯科医に 第2山田丸 身元確認に尽力

[感謝状:長崎海保、県警嘱託歯科医に 第2山田丸 身元確認に尽力]

(毎日新聞  2010年8月25日)


五島列島沖で1月に底引き網漁船「第2山田丸」(113トン)が沈没した
事故で、乗組員の遺体の身元確認に尽力したとして、長崎海保は24日、県内
開業医で作る県警嘱託歯科医会(今井忠之会長)の歯科医師ら10人に感謝状を
贈呈した。

事故では乗組員10人が全員死亡。
同歯科医会は日常の仕事の傍ら、遺体発見による急な呼び出しに応じ、歯の
治療跡などの照合で、日本人4人、中国人1人の身元確認につなげた。

長崎海保の林田保宏警備救難課長は「歯科医の専門的な技術がないと身元
特定はできなかった。非常に協力してもらった」。
今井会長は「2度とあってほしくない事故だが、遺族が感謝していると海保
から伝え聞き、救われる思いです」と話していた。
【釣田祐喜】

http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20100825ddlk42040630000c.html

身元不明の鑑定で、最も不正確なのは、親族による確認

[身元不明死体の鑑定]   

(法医学のセミナーより)


身元不明死体の鑑定で、最も不正確なのは、親族による確認と所持品照合で
あると言う。
  ・変死の場合、顔が変形する。親族による誤確認が多い
  ・顔を正視できない親族が多い
  ・状況説明で、身内と思い込んでしまう場合が多い
  ・所持品が犯人の落とした物だった
  ・所持品が第3者の落とした物だった

一方、身元不明死体の鑑定で、最も正確なのは指紋照合であり、2番目が歯型
照合だそうだ。



ある焼死体が見つかった。
その近辺で寝泊まりしていた人だとの目撃証言がたくさんあった。
縁戚者が遺体を引き取り葬式を出した。
葬式後、その死んだとされた人が戻ってきて大騒ぎになった。

遺体は焼死体なので、指紋照合が出来なかった。
2番目に正確な歯型照合をすればよかったのであるが、地元警察が焼死体では
歯型照合ができないとの間違った判断をして、目撃証言だけに頼ってしまった
のだ。


(横山歯科医院)















災害被害者の特定に役立つ新しい歯型照合システム

[災害被害者の特定に役立つ新しい歯型照合システム]

(HealthDay News  2007年11月27日)


大きな災害の際に、被害者の身元確認に要する時間を大幅に削減する新しい
自動特定システムが日本の研究グループにより開発され、米シカゴで開催
された北米放射線学会(RSNA)年次集会で発表された。

この方法により、地震、津波、飛行機墜落事故、テロなどの際の保健当局に
よる対応も改善できると研究グループは述べている。


今回の研究を率いた神奈川歯科大学(横須賀市)の小菅栄子氏によると、
遺体の損傷が大きく身元の確認が困難な場合、歯の治療記録が最後の手段で
あることが多いという。
しかし、被害者の数が多いと、手作業による照合では遺体の特定に膨大な
時間がかかり、誤りも格段に多くなる。

例えば、1985年の日本航空機墜落事故では、犠牲者520人中325人に歯型の
照合が必要とされ、2,800人以上の医師、歯科医師、および法医学者が3カ月
かけてすべての遺体を特定したという。


この新しい歯型照合システムは、「位相限定相関法(POC)」という技術を
利用したもので、ソフトウェアにより、歯科X線写真によくみられる歪みを
自動的に調整、補正できる。
小菅氏らは、このソフトの実用性を検討するべく、日本人の患者60人の歯科
治療前および治療後のX線写真を分析。
POCによる画像補正の後、コンピューターがそれぞれのX線写真に最も近い
画像を3点、平均3.6秒で選出。
その後、法医学の専門家らが最終的な評価を実施した。
POCによる1回目の照合では患者の87%が正確に認識され、2回目で98%、
3回目で100%に達したという。
このシステムにより、法医学的作業が 95%削減できると小菅氏らは推定して
いる。


遺族の感情面の混乱も軽減できるという。
「日本では亡くなった人を数日から1週間以内に火葬する慣習があるが、
大切な人を失っただけでなく、正式な葬儀の手順も踏むことができないと
なれば、遺族の痛みは計り知れない」と小菅氏はいう。
このシステムが採用されれば、少なくとも正式な葬儀を行うことができる。


米国の専門家もこのシステムの有用性を認めているが、歯型の照合がどの
ような場面でも役立つというわけではない点を指摘している。

2001年の同時多発テロでは、ニューヨークでの犠牲者約3,000人のうち、
歯型により身元を特定できたのは約1,500人にとどまったことを挙げ、歯も
残らないような災害ではこの方法は使えないと述べている。


http://www.healthdayjapan.com/   





入れ歯のテープで身元確認 名前と県の番号埋め込み

[入れ歯のテープで身元確認 名前と県の番号埋め込み]

(共同通信社 最新医療情報  2006年11月6日)


<山梨で5,000人以上に実施>
名前や県名を示す番号を印字した小さなテープを入れ歯に埋め込み、身元の
特定や確認に生かすネーミング事業を、山梨県歯科医師会が進めている。
これまでに5,000を超える患者に実施し、迅速な身元確認につながった
ケースもある。


<日航機事故で注目>
歯による身元確認は、1985年8月に起き520が死亡した群馬県・御巣鷹山の
日航機墜落事故で注目された。
傷みが激しい遺体の身元を確かめるのに、歯の特徴が役立ったからだ。

山梨県歯科医師会でネーミング事業を推進する歯科医師の金山昇さんは
「事故をきっかけに、大規模災害のときに歯を個人識別に用いる重要性が
全国の歯科医師会で認識され、開業医が組織的にかかわるようになった」と
説明する。
歯は体の中で最も硬いうえ、口の中なので損傷しにくく、世界的にも身元を
確かめるのに利用されているという。
確認作業では、歯の治療痕や詰め物の場所、欠損部分などと、かかりつけの
歯科医が保存しているカルテやエックス線写真を照らし合わせる。
しかし、乗客名簿などほかに身元が推定できる材料や、よほど特徴的な
治療痕や歯の状況がある場合を除けば、歯だけから身元にたどり着くことは
少ないという。
「最終的な裏付けの意味で歯が使われることが多い」と金山さん。
 

<患者負担なし>
さらに山梨県では、富士山ろくに広がる青木ケ原樹海で毎年、多数の遺体が
発見されるため、入れ歯に名前があれば該当者を早く絞り込めると考え、
県歯科医師会が主体となり2000年からネーミング事業を始めた。
同医師会では、公的に決まっている県のコード番号と名前を印字した小さな
透明テープを、入れ歯の土台など目立たない場所に埋め込んでいる。
テープは長さ 1〜1.5センチ、幅4ミリ程度で、スペースさえあれば、どんな
大きさや形の入れ歯にも入れられる。
テープの安全性や耐久性に関しては「以前から埋め込みを行っている一部の
大学病院と同じ方法でやっている。詳しく検討する必要はあるが、これまで
大きな問題は報告されていません」(金山さん)。

事業には山梨県内の約50の歯科医療機関が協力し、2000年2月から今年3月
までに、埋め込みを希望した高齢者ら5,380人に実施。
埋め込み技工料の一部として1カ所約500円の補助金を同県歯科医師会が
出しており、患者の費用負担はない。

   
<数時間で特定>
迅速な身元判明につながったのは同県で2件。

笛吹市で2001年11月に発見された70代男性のケースでは、入れ歯の名前が
電話帳で確かめられ約3時間で特定できた。

2003年7月に南アルプス市で見つかった60代男性は、持ち物や体の特徴から
身元を確認できるものはなく、指紋や家出人捜索願でも該当者はなかったが、
ネーミングが決め手となり数時間で分かった。


災害に巻き込まれたり認知症患者が行方不明になったりしたときだけでなく、
高齢者施設や病院での入れ歯の所有をめぐるトラブル、紛失防止にも役立つと
考えられる。

金山さんは「医療機関のコードなどの情報も加えれば、さらに有用性は
高まる。普及には、どこが費用負担するのかや実施の指針作りが課題になる
だろう」と話す。



http://www.47news.jp/feature/medical/news/1108ireba.html
   

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