カテゴリー : 在宅医療

酵素の力で1,000の1に軟らかくなったリハビリ食「あいーと」

[味も見た目も同じなのに軟らか〜い 患者の声聞き新食材]

(朝日新聞  2010年10月17日)



味も見た目も「すき焼き」や「焼き魚」。
口の中では、マシュマロのように溶ける——。

病気の後遺症や高齢で普通の食事が取れない人向けに、画期的な食事が誕生
した。
酵素の力で通常の食事の1千分の1に軟らかくなった。

病院の臨床研究で口にした患者から「家でも食べたい」との声が相次ぎ、
今月22日からの市販が決まった。


この商品は、イーエヌ大塚製薬が開発した「あいーと」。
「I eat(私は食べる)」から名づけた。
藤田保健衛生大の東口高志教授(消化器外科)らと開発、現在、17医療機関で
臨床研究中だ。


軟らかさの秘密は、細胞を切り離す酵素。
食材ごとに最適な酵素を選び、圧力を変えながら注入する技術を開発し、形が
崩れないギリギリの軟らかさで食感も残した。
筑前煮は、100〜1千分の1に軟らかくなった。
栄養素もほぼ、変わらない。


主に病院での販売を考えていたが、臨床研究に参加した患者や家族から
「売って欲しい」との声が50件近く寄せられ、「さばの塩焼き」「チキン
カレー」など15品の販売が決まった。

東口教授は「口から食べることで、患者の回復が早まったり、命が延びたり
することもある」と話す。
1品400円前後で通信販売する。
問い合わせは同社(03・3515・0170)へ。
(岡崎明子)


http://www.asahi.com/health/news/TKY201010160309.html   




医のかたち「食べる力」・・・栄養サポートチーム(NST)

[医のかたち「食べる力」・・・栄養サポートチーム(NST)]

(朝日新聞 2010年6月3日)
医のかたち「食べる力」


病気を治すには、医師の診療と薬だけではなく、十分な栄養が欠かせません。
病気の種類や症状に応じて食事の内容を細やかに管理できれば、回復を早める
こともできます。

そこに着目し、専門スタッフでつくる「栄養サポートチーム」(NST)が、
各地の病院にできています。
鳥取市立病院の取り組みから、患者の回復に欠かせない「食べる力」の引き
出し方を取材しました。
(中村瞬、錦光山雅子)


<「口から」特に重視>
5月27日正午。
鳥取市立病院の一室に、昼食を手にしたチームのメンバーが次々集まった。
「さっき、急に依頼をもらったんですが・・・・・」
患者の情報が入ったパソコンを見ながら、看護師の土橋操さん(46)が話し
始める。
太もも骨折で2日前に手術した90代の女性患者。
手術疲れか、食事をほとんど残すという。
麻酔科医の鍔木紀子さん(52)が「とりあえず点滴を入れるしかないね。
来週も続くなら、ちょっと考えないといけない」と答える。

同病院は約4年前からチームを組んだ。
医師や看護師のほか、管理栄養士、言語聴覚士、臨床検査技師など19人が
週1回、会議を開き、患者を見回る。
栄養状態の悪い高齢の入院患者を中心に、これまで240人の栄養を管理して
きた。
鍔木さんは「栄養管理は、治療の基本の『き』。食べられないと、患者は
生きる気力も失いかねない。そうならないためにできることを考えるのが
役割」と話す。

同病院のチームは、口から食べることを特に重視する。


2007年、60代男性が転落事故で頸椎を損傷し、手術を受けた。
直後から男性は食べると嘔吐を繰り返した。
神経が傷み、飲み込む力が弱まったためだ。
鼻から管を通し栄養をとったが、男性は「食べる」ことを強く望んだ。

数日後から、言語聴覚士の松島初美さん(51)は看護師と、飲み込む力を回復
する訓練を始めた。
発声させたり、冷たい綿棒でのどの奥をつついて刺激を与えたりした。

管理栄養士の磯部紀子さん(51)にはどんな食事なら取れる状態かその都度
伝えた。
磯部さんは、舌の裏やのどの奥に食べ物かすが残らないよう、普通に近い
献立を細かく砕いて用意。
気管に入らないよう、適度に粘りもつけた。

食事で足りない栄養は管からとり、2カ月で、男性は一般の患者と同じ食事が
食べられるようになった。
松島さんは「食べたいという強い思いが、早い回復につながったのでは
ないか」とみる。


口のチェックで新たな病気を防ぐ取り組みも始めた。

飲み込む力が衰えると、食べものが誤って気管に入る「誤嚥」を起こし
がちだ。
口の中の雑菌も肺に入り、誤嚥性肺炎を起こす例も少なくない。
昨年だけで通院・入院計600人の患者に誤嚥性肺炎とみられる症状があった。

このため今年4月、新たに歯科医師の目黒道生さん(36)が加わり、口の中の
雑菌量、唾液の分泌量、飲み込むための歯や舌の機能の状態を調べている。
「口のケアは治療の入り口。それが不十分なために、病気やけがを治すために
入院したはずの病院で誤嚥性肺炎にかかって容体が悪化するという、負の
連鎖を断ちたい」と話す。



<背景に患者の高齢化>
栄養サポートチーム(NST)は1990年代後半から国内で始まった。
「日本栄養療法推進協議会」は、全国940施設を認定。
うち、中国地方では約100=表=が活動する。
関連学会が独自に認定した施設も入れると、全国で1,500以上になる。

広がる背景の1つは、患者の高齢化だ。

医療水準が高まるにつれ、以前なら手術をあきらめていたような年齢や容体の
お年寄りでも、負担の重い心臓病やがんの手術が可能になった。

ただ、手術は成功しても、高齢のために家に戻れる状態まで回復できず、
長い間入院したり、感染症を起こしたり、退院後も寝たきりになったり、と
いう例が増えた。

このため、必要な栄養をしっかりとって回復を早める方法が見直され、
結果的に入院期間の短縮にもつながった。
国も2006年度からNSTが取り組んでいるような活動に報酬を払うように
なり、NSTの増加を後押しした。

退院後も自宅で療養が必要なお年寄りのため、医療機関や介護スタッフらが
連携し、「在宅(地域)NST」を組織する地域も出てきている。

「全国国民健康保険診療施設協議会」のまとめによると、全国約900の国保
診療所・病院の約3割が在宅患者に栄養サポートをしていた。

「在宅チーム医療栄養管理研究会」代表で管理栄養士の佐藤悦子
さんは「退院後、パンと牛乳しか食べず、再入院する例も少なく
ない。食事の改善は手間がかかり、家族も敬遠しがち。地域で
支える必要がある」という。



<記者より>
栄養を取る方法は点滴などもあるが、鳥取市立病院のNSTはチーム
一丸で、患者が食物を口にすることが出来る可能性を何とか見つけ
ようとする。
大食漢の私は暴飲暴食もしばしばで、現在、虫歯治療のため歯科に
通院中。
食べられなくなるなんて考えたこともなかったが、「食べる」と
いう行為の大切さをかみしめた。
(中村)

http://mytown.asahi.com/hiroshima/news.php?k_id=35000631006030001

「予防」支える訪問診療 夕張のお年寄りに笑顔

[医師不足と闘う(4) 「予防」支える訪問診療 夕張のお年寄りに笑顔]

(読売新聞  2007年9月12日)


夕張市南清水沢の本間きくのさん(96)方で、夕張医療センター長の村上智彦
医師(46)が、きくのさんの手を握った。
ベッドに横たわるきくのさんの表情が、みるみる笑顔に変わる。
介護する末娘の安子さん(51)も「あら、私にはそんないい顔、見せない
のに」とほほえんだ。

10分ほど談笑し、胸に聴診器を当てる。
「大丈夫だけど、風邪をひかないよう注意して」
村上医師はそう言って、少し古びた乗用車に乗り、次の患者宅に向かった。



村上医師は2000年から6年間、檜山の旧瀬棚町(現せたな町)の診療所長を
務めた。
1990年代初めまで全国ワースト1だった町の老人医療費を、2002年には半減
させた。
その鍵は地域・行政・医療機関が連携して住民の健康維持に取り組む
「予防医療」だ。

「患者が来ればすぐ検査、投薬するのではなく、まずじっくり話を聞く」
食事や生活習慣はもちろん、家族の病歴から遺伝や感染が疑われる場合も
ある。
肺炎になれば治療に1人約25万円かかるが、早期予防で病人が減れば、
医療費も削減できる。
予防接種の公費補助を町に訴えて実現し、全国の自治体にもその取り組みが
広まった。

当時副所長だった町立瀬棚診療所の吉岡和晃所長(37)は「今も住民が予防
接種や健康診断を受ける率は高く、健康を守る意識が根付いている」と語る。



財政再建中の夕張では、予防接種の公費補助は実現していないが、予防医療の
柱の1つが、4月から始めた「訪問診療」だ。
在宅療養の患者宅まで村上医師と看護師が定期的に出向く。
通院がつらい患者を助けるサービスだが、実は財政破たんに伴い、市立総合
病院が診療所(医療センター)に“格下げ”されたことがきっかけとなった。

24時間の往診体制を整えている診療所には、国から支払われる診療報酬の優遇
措置があり、訪問診療もその対象となる。
過疎地の医療を支えるための措置だ。
村上医師は、車いすで通院するお年寄りなどに「家まで診に行こうか」と声を
掛け、現在約20人が月2回ほど訪問診療を受ける。
夕張のまちは細長く、回るのは時間もかかるが、ほかの医師2人も加え、
もっと増やしていこうと考えている。

市立病院時代のベッド数は171床。
今は医療センターが19床で、併設の介護老人保健施設を合わせても59床に
減った。
医師、看護師や診療科も減り、人工透析の患者は市外に通院せざるを得なく
なった。

それでも、村上医師は「診療所になったことは、予防医療という点では有益
かもしれない」と話す。
入院ベッドや診療科が少なければ、日ごろから健康維持に努めなければ
ならない意識の大切さを、住民と共有できる側面もあるからだ。

「市立病院のときも(看護師による)訪問看護はあったけれど、お医者さんが
来てくれる安心感は全然違う。介護する私も助かっている」と、安子さんは
感謝する。
夕張市の高齢化率は約4割と高く、いわゆる「老・老介護」も少なくない。
介護者の健康維持も重要だ。
人口流出が続けば、医師だけでなく、介護者の確保もままならなくなる。
夕張に限った問題ではない。

患者を待つのではなく、つくらない医療——。
その有効性を信じ、村上医師の奮闘が続く。


http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/kikaku/128/4.htm   


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・「医療費地域差、北海道が100なら長野は89.3

・「「コンビニ受診」は自治体破綻のバロメーター

・「「予防」支える訪問診療 夕張のお年寄りに笑顔

・「予防は治療に勝る・・・佐久総合病院

・「予防は治療に勝る・・・若月俊一



寝たきり予防の切り札「口腔ケア術」

[寝たきり予防の切り札 口腔ケア術]

(NHKためしてガッテン 2007年7月11日放送)


今回のテーマは、食べる・飲み込むという動作が満足にできなくなる病気
「摂食嚥下障害」。
(番組では分かりやすさを優先して「飲み込み障害」と名付けました)

こうした症状に悩む人は、お年寄りを中心に全国で推定80万人もいます。
老化や病気が悪化の原因とは限らないこの不思議な症状を大研究!
回復法、予防法(=口腔ケア)を紹介します。
さらに、入れ歯と肺炎の深い関係と、正しい手入れの方法についてもご紹
介します。


<ただごとじゃない!  飲み込み障害の悲劇>
77歳のAさんは、4年前、飲み込む力が衰えたことがきっかけで、肺炎を患い
ました。
直接の原因は、本来、食道に流れるはずの食べ物を、誤って肺に入れて
しまったことでした。
次の肺炎がいつ起こるか分からないという恐怖感から食べられなくなり、
体重は激減。
わずか2か月で62キログラムから50キログラムまで減りました。
そこで栄養不足を防ぐため、胃に穴を開けて栄養剤を直接胃に入れる
「胃ろう」という処置をとることになりました。
その結果、1日のうち7時間をベッドで過ごさなくてはならなくなり、
ほとんど寝たきりの状況にまでなってしまいました。


<なぜ飲み込む能力が弱くなると、肺炎を発症するの?>
人間ののどの奥には、食道と気道を分岐している場所があります。
この分岐点には「気道のフタ」があり、食べ物が気道に入ろうとするのを防ぐ
働きをしています。
上で紹介したAさんは、このフタの働きが弱ってしまったケースです。
フタの閉まりが悪くなることで、本来食道に流れるはずの食べ物を誤って肺に
入れてしまい、これが原因で肺炎が起きたのです。
(誤嚥性肺炎)
※肺炎の発症には、免疫低下など、その他の条件も関係します。


<胃ろうをつけても肺炎のリスクは変わらない?>
フタの働きが弱くなっていると、食べ物だけでなく唾液もうまく食道に送り
込めず、誤って肺に入れてしまうリスクが高まります。
よって、肺炎のリスクは変わりません。
※番組では、栄養不足が懸念される患者に対しては「胃ろう」は重要だと
 考えています。


<発見! これがフタの動力源>
超小型カメラでのどの奥を観察して、飲み込みの仕組みを直接見る実験を行い
ました。
23歳の健康な番組スタッフがセンベイを噛んで飲み込んだところ、気道の
フタがきちんと閉まり、センベイは無事に食道へ送られました。
ところが、フタの働きに大きく関わる「口の中のある部分」に麻酔を打って
感覚を鈍らせ、同様の実験を行うと、今度はセンベイの一部が食道には
行かず、のどの奥に残ってしまいました。

その「ある部分」とは、舌です。
舌は私達の想像よりもはるかに奥のほう、気道と食道の分岐点まで伸びて
います。


<気道のフタの働きを鈍らせたものとは?>
実は気道のフタには筋肉がほとんどなく、逆に筋肉の塊である舌に押される
ことで開いたり閉まったりします。
(実際には舌周辺の筋肉も関与します)
飲み込み障害は、気道のフタの周辺の筋肉が弱ることで起きていたのです。


<気道のフタ周辺の筋肉を弱らせる原因は?>
もともとのきっかけは老化や病気(主として脳卒中)など、さまざまな
ケースがありますが、筋肉がより衰える最大の原因は、その筋肉を使わない
ことです。

使わないことが飲み込むための筋肉の衰えを加速させ、衰えることで肺炎の
リスクが高まります。
その肺炎がきっかけでますます使わなくなり、ますます衰える・・・・・。
飲みこみ障害は、このような悪循環を引き起こすのです。


<Aさんのリハビリ日記>
胃ろうでしか栄養が摂れなかったAさんは、何とか自分の口で食べたいと
リハビリに取り組みました。
すると飲み込む能力を徐々に取り戻し、体重も回復。
1年2か月後には胃ろうも不要になり、自分の口から摂る栄養だけで過ごせる
ようになりました。
寝たきり状態からも脱しました。
※リハビリは、専門家の指導のもと安全に注意して行っています。
 決して自分の判断で真似をしないで下さい。
※リハビリでどの程度の効果が期待できるかは個人差があります。


<飲み込み障害が招く悪循環とは?>
飲み込み障害の本質は、使わないことによって悪化する「廃用症候群」に
あります。
「廃用」とは、「使わない」ことです。
つまり「廃用症候群」とは、使わないことによって衰えることをいいます。
いったん廃用症候群が起こると、食べられなくなって低栄養状態となり、
やがて免疫の低下が起こります。
すると肺炎を発症しやすくなり、また次の廃用症候群が起こるのです。

飲み込み障害のきっかけで最も多いのは病気(主として脳卒中)ですが、
「近ごろ、飲み込むときにムセることが多くなった」と感じる人も要注意。
自分でも気がつかないうちに、軽度の飲み込み障害が始まっている可能性が
あります。
特に、物を食べる、飲み込むという行為は、あまりに日常的すぎて、衰えに
気が付きにくいのです。
こうした現状を受け入れてそのまま放置してしまうと、肺炎を起こすか、
廃用症候群に陥ってしまう可能性があります。
対策としては、各地の介護施設等で行われている「口腔体操」がおすすめ
です。
半年続けると、舌の力が30%アップするなどの効果が期待できます。
家庭でもできる口腔体操は実習コーナーでご紹介します。



<肺炎の危機!>
入れ歯使用者8人に集まってもらい、入れ歯にどれだけ細菌がついているかを
調べました。
すると、6人が自分の想像よりもはるかに入れ歯が汚れていたことが判明
しました。
その中には、市販の洗浄剤で毎日欠かさず手入れをしていた人もいたのです。


<なぜ洗浄剤を使っていても、細菌が落ちないのか?>
細菌には、洗浄剤など化学的な攻撃に対しての防御機能があります。
それが、細菌自身が出すバイオフィルムという物質です。
バイオフィルムは何層にも重なっていて、洗浄剤だけですべてを破壊するのは
困難です。
最善の対策は、ブラッシングでバイオフィルムを物理的に破壊してから、
洗浄剤を使うことです。
洗浄剤は、バイオフィルムが薄い層であるときには高い効果を示します。



<実習コーナー「今すぐできる! ラクラク口腔体操」>
食べる能力・飲み込む能力を高めるために行う口腔体操。
食べ物や自分の唾液をしっかりと食道に送り込むことができるようになる
ことで、肺炎予防の効果が期待できます。
食事の前に合計で10分程度、以下の体操を行うと効果的です。
(1)パタカラ体操
   「パタカラ、パタカラ、パタカラ・・・・・」
   「パ・タ・カ・ラ」をできるだけ早くハッキリと発音することで、
   舌や唇のスピードや、巧みさを養います。
   「パタカラ」にこだわらず、好きな早口言葉を見つけて練習するのも
   よいでしょう。

(2)舌体操
   「舌を前後、左右、上下に動かす」
   舌の力や、動く範囲を向上させる訓練です。
   少々きつく感じる程度がちょうどよいでしょう。
   慣れてきたら、早く動かすとより効果的です。

(3)唾液腺マッサージ
   「耳の下を親指以外の4本の指でもむ」
   「顎の下を親指でしっかりと押す」
   食べ物をうまく噛み、しっかりと飲み込むためには、唾液が不可欠
   です。
   この体操は、唾液を出す能力を高めるためのマッサージ。
   食事の前に行うと特に効果的です。



<まとめのガッテンタワー>
・あれっうまく飲み込めないぞ→使わないから衰える廃用症候群
・食べる筋力アップ口腔体操
・入れ歯の手入れは、1に空みがき、2に洗浄剤
・口は幸せのもと

http://cgi2.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20070711

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MFT口腔筋機能療法キーワード目次

誤嚥性肺炎 〜本当は怖いむせ返り〜

[誤嚥性肺炎 〜本当は怖いむせ返り〜]

最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学

テーマ: 『本当は怖いむせ返り〜静かなる悪魔〜』
A・Sさん(男性)/70歳(当時)   会社経営

東京の下町で、工作機械の小さな工場を経営するA・Sさん。
ある日、味噌汁を飲もうとして突然むせ返ってしまいました。
その時は、急いで飲み込んだためだと気にもかけていなかったのですが、
その後、さらなる異変が襲います。

<症状>
(1)むせ返り
(2)力が入らない
(3)倦怠感
(4)返事をする気力もない
(5)失禁
(6)爪が青黒くなる
(7)唇が青黒くなる

<病名>誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)


<なぜ、むせ返りから誤嚥性肺炎に?>
「誤嚥性肺炎」とは口の中の細菌が肺に入ってしまい、肺炎になる恐ろしい
病。

A・Sさんの場合、それは肺炎球菌という細菌でした。
空気中に存在する肺炎球菌は、呼吸とともに吸い込まれ、口の粘膜にとりつき
ます。
しかし通常は唾液に含まれる酵素が殺菌してしまうため、肺炎球菌は口の中
には残りません。
ところがA・Sさんの場合、高齢のため唾液の酵素が少なく、殺菌力が低下。
肺炎球菌が生き残ってしまったのです。


では、この肺炎球菌、一体いつ肺の中に侵入したのか?
その魔の瞬間こそ、あの「むせ返り」でした。
健康な人は、口の中に食べ物が入ると、脳の指令により「喉頭蓋」
(こうとうがい)というフタが気管の入り口を塞ぎ、誤って食物が入ることを
防いでいます。

しかしA・Sさんの場合、脳の指令が喉頭蓋に正しく伝わっていなかったの
です。
原因は高齢になると多くの人に起きる動脈硬化。
それが脳の細い血管で起きていました。
動脈硬化を起こした血管は時間が経つにつれ徐々に詰まっていきますが、
A・Sさんの脳ではそれがあちこちで起きていました。
そのため脳の指令が喉頭蓋に正しく伝わらなくなっていたのです。

その結果、気管の入り口にうまくフタをすることが出来ず、食べ物が誤って
流れ込む「誤嚥」という現象を起こしてしまいました。
そして起きたのが、あの「むせ返り」。
「むせ返り」は間違って気管に入った異物を吐き出すために必要な反応
ですが、A・Sさんは高齢のため、吐き出す力が弱く、味噌汁が気管の奥へ
流れ込んでしまったのです。

入ったのは口を通る際に肺炎球菌をたっぷり含んでしまった味噌汁。
しかもこの時、A・Sさんは仕事が忙しく、身体に無理を重ね、抵抗力が
弱まっていました。
そのため肺に入りこんだ肺炎球菌はたちまち増殖、炎症を起こした結果、
様々な症状を引き起こしたのです。

最初力が入らなくなり、その後、ひどい倦怠感に襲われたのは、肺が炎症を
起こし、血液に酸素を十分送り込めなくなったのが原因。
全身の筋肉が酸素不足に陥り、運動能力が低下してしまったのです。

さらに妻の問いかけに返事をする気力もなくなり、ついには失禁してしまった
のは、脳を流れる血液の酸素が不足し、脳細胞の活動が低下していたせいで
した。

肺炎にも関わらず、高い熱や咳が出なかったのは、年をとって発熱などの体の
反応が鈍くなっていたため。

事実この病気にかかった高齢者の3人に1人は高熱や咳といった症状が出て
いません。
そのため、病気のサインを見落としてしまうことが多いのです。

その結果、A・Sさんの爪や唇は青黒く変色してしまいました。
これは血液中の酸素が異常に減り、血液の色が黒ずんだために起きた現象。
ここまで来ると、もはや肺は機能停止寸前。
ついには呼吸不全を起こし、帰らぬ人となってしまったのです。


現在、肺炎で死亡する人は、年間およそ9万5,000人。
うち96%が65歳以上の高齢者であり、そのほとんどが誤嚥性肺炎と言われて
います。



http://asahi.co.jp/hospital/
  

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