日本脳炎ワクチン 新製品が開発され、4月から接種通知が再開
- 2010年 9月 1日
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[日本脳炎ワクチン 新製品が開発され、4月から接種通知が再開]]
(毎日新聞 2010年9月1日)
<日本脳炎ワクチン 新製品が開発され、4月から接種通知が再開>
<原料変更、副作用少なく 専門家「依然、治療法ない病気。ぜひ接種を」>
高熱や意識障害に見舞われ、運動障害などの重い後遺症や、場合によっては
死に至ることもある日本脳炎。
蚊が運ぶウイルスが感染の原因で、予防接種法に基づいて公費でワクチン
接種が行われているが、ここ5年間、自治体から市民への接種の通知(積極的
勧奨)が、国の政策で差し控えられていた。
接種後に重い副作用を起こす事例があったためだが、昨年になり副作用の
少ない新ワクチンが開発された。
4月から接種の通知も再開されている。
日本脳炎ウイルスは、ウイルスに感染したブタの血を吸ったコガタアカイエカ
などが媒介して、ヒトへ感染する。
感染を防ぐ日本脳炎ワクチンの歴史は古い。
1954年に日本で開発された。
当時、毎年2,000人前後の患者が出ていたが、ワクチン接種が積極的に
行われるようになった1967年以降患者は急減。
1970年代には数十人から200人ほどに抑え込まれた。
近年は10人未満で推移している。
一方、ワクチン接種後に、発熱やけいれん、意識障害などを伴う中枢神経系の
病気「急性散在性脳脊髄炎」(ADEM)や脳症を発症する例が、年に1件ほど
起きていた。
中には寝たきりになるケースもあったため、2005年に接種通知が差し控え
られた。
接種後に副作用が起きる一因は、ワクチンの原料にあると考えられた。
ワクチンは、マウスの脳に日本脳炎ウイルスを注射して感染させ、発病後に
ウイルスを採取、働きを鈍くしてから精製して作る。
このため理論的にはマウスの脳に含まれるミエリンというタンパク質が
含まれる可能性があり、これが接種後にヒトの体内で異物と認識され、免疫
反応を引き起こしてADEMにつながりかねなかった。
そこでワクチンメーカーの阪大微生物病研究会(阪大微研、大阪府吹田市)
は、マウスの脳に代えてアフリカミドリザルの細胞で培養したウイルスを
使った新ワクチンを開発、2009年に販売を始めた。
阪大微研は、大阪大の研究成果を応用してワクチンなどを開発するため、
1934年に設立された財団法人。
開発に携わった上田重晴理事(阪大名誉教授)は「マウスの脳を使わない
ので、脳へ影響する可能性のあるミエリンが混入する心配がない」と強調
する。
別の利点として、ウイルス培養のために数多くのマウスが必要だった従来法と
比べて、製造工程で品質を一定に保ちやすくもなったという。
新ワクチンの接種は、現在各地で行われている。
大阪市天王寺区の大阪府医師会予防接種センターではおおむね週1回、接種を
実施している。
8月26日には、いずれも東南アジアへ渡航する7歳と1歳の女児が受けた。
7歳女児の母親(31)は「以前のワクチンは、副作用による障害が残る
可能性があると聞いていた。安全性の高いワクチンの接種を受けられて
よかった」と話した。
近年の患者減少は、蚊が繁殖しやすい田んぼが減って、養豚施設の大規模化も
あって感染の機会が少なくなったことも大きい。
だが阪大微研の上田理事は「患者は年に数人でも、発症すると有効な治療法が
なく怖い病気。仮に新ワクチンを接種して熱やはれが出ても一過性で終わる。
ここ数年は接種数がとても少なかったが、今後はぜひきちんと接種をして
ほしい」と話している。
【野田武】
http://mainichi.jp/select/science/news/20100901ddm013100141000c.html