カテゴリー : 摂食咀嚼機能

酵素の力で1,000の1に軟らかくなったリハビリ食「あいーと」

[味も見た目も同じなのに軟らか〜い 患者の声聞き新食材]

(朝日新聞  2010年10月17日)



味も見た目も「すき焼き」や「焼き魚」。
口の中では、マシュマロのように溶ける——。

病気の後遺症や高齢で普通の食事が取れない人向けに、画期的な食事が誕生
した。
酵素の力で通常の食事の1千分の1に軟らかくなった。

病院の臨床研究で口にした患者から「家でも食べたい」との声が相次ぎ、
今月22日からの市販が決まった。


この商品は、イーエヌ大塚製薬が開発した「あいーと」。
「I eat(私は食べる)」から名づけた。
藤田保健衛生大の東口高志教授(消化器外科)らと開発、現在、17医療機関で
臨床研究中だ。


軟らかさの秘密は、細胞を切り離す酵素。
食材ごとに最適な酵素を選び、圧力を変えながら注入する技術を開発し、形が
崩れないギリギリの軟らかさで食感も残した。
筑前煮は、100〜1千分の1に軟らかくなった。
栄養素もほぼ、変わらない。


主に病院での販売を考えていたが、臨床研究に参加した患者や家族から
「売って欲しい」との声が50件近く寄せられ、「さばの塩焼き」「チキン
カレー」など15品の販売が決まった。

東口教授は「口から食べることで、患者の回復が早まったり、命が延びたり
することもある」と話す。
1品400円前後で通信販売する。
問い合わせは同社(03・3515・0170)へ。
(岡崎明子)


http://www.asahi.com/health/news/TKY201010160309.html   




歯科衛生士 求厶! 有資格者

[歯科衛生士 求厶! 有資格者]

(大分合同新聞 2010年7月26日)


歯科衛生士が不足している。

県歯科医師会によると、県内には病院を含め約600の歯科診療施設があるが、
就業している歯科衛生士は約1,200人。
1医療機関当たり3人とされる必要人数に満たず、人材不足に悩んでいる
施設が多いという。
同医師会は本年度中に、資格を持っているが歯科衛生士として働いていない
“潜在者”の掘り起こし事業に着手する。


歯科衛生士の不足は看護師と同様、全国的な問題。
歯科診療施設の増加や、高齢化に伴い介護老人保健施設などでも必要とされ
だしたことが原因という。

病院以外の県内の歯科診療所は2008年までの10年間で、522施設から
544施設へと22施設増加。
介護保険制度の改正(2006年)で介護予防が導入されたのを機に、「健康
維持のため、口腔機能の向上が注目され、活躍の場が介護現場にも広がって
いる」と県歯科衛生士会の高藤千鶴会長(57)。

さらに、「修業年限が2年から3年以上となり、専門学校の定員が減った
ことも不足に拍車を掛けた」と県歯科医師会の木村哲也理事(53)は指摘
する。

県内の専門学校は2校。
大分県歯科技術専門学校(別府市)は2006年度から、大分歯科専門学校
(大分市)は2008年度から3年制に移行。
入学者の減少や、施設の規模に対応するため、100人の定員をそれぞれ50人、
40人に減らしている。

県歯科医師会と県歯科衛生士会は、結婚や出産に伴い現場を離れた有資格者の
復帰を目指す。
登録を呼び掛け、研修会で知識や技術を学び直してもらうことで再就職を支援
する計画。
同医師会は「歯科医だけでは診療は成り立たない。患者と直接かかわり、
歯科医との間に立って重要な役割を果たす歯科衛生士への理解を呼び掛け
たい」としている。




<ポイント>
歯科衛生士:
フッ素塗布、歯石除去など歯科診療の補助のほか、歯磨き指導、噛んだり
飲み込んだりする口腔機能トレーニングなどの業務を担う国家資格。
高齢化の進展や医療の高度化・専門化などに伴い、国は2005年に改正歯科
衛生士法を施行。
専門学校の修業年限を3年以上に改め、本年度から完全実施した。

http://www.oita-press.co.jp/localNews/2010_128010667981.html   




柔らか食品ブームの一方で、噛む力を見直す動きも

[柔らか食品ブームの一方で、噛む力を見直す動きも]

(毎日新聞 2008年9月15日  どうする「未病」)


食欲の秋。
スーパーやコンビニに並ぶ多種多様な食品のパッケージを眺めてみると、
こんな語句をよく見かけませんか。
「ふんわり」「とろーり」「なめらか」・・・・・。
噛んだ時の柔らかさや、口溶けの良さを売りにした商品が増えているのです。

たとえば、ローソンが9月から販売を始めた「米粉パン」シリーズ。
従来の小麦粉パンに比べて水分含有量が多い米粉パンは、しっとり、もちもち
とした食感の良さが大きな特徴です。
ほかにも各メーカーから、ご飯と同じくらい柔らかい食感の納豆、口の中で
とろけるプリンなど、柔らかさをアピールする商品が続々登場し、いずれも
好調な売れ行きを見せています。


こうした「柔らか食品」ブームの一方、噛むことの大切さを見直す流れも出て
きています。
独自製法で噛み応えをプラスし、手軽に噛む力を鍛えられるガム、これまでに
ない強いコシが売り物のそばなど、噛むことに着目した商品も新たに登場して
います。

また、この秋からは、せんべいやあられなどの米菓に「かたさ度」を表示する
動きも本格化。
子どもからお年寄りまで、自分に合った硬さの米菓を選ぶ基準となるだけで
なく、「噛む」ことを意識し直すきっかけになると注目されています。


よく言われる食事作法の1つ、「よく噛んで食べなさい」。
これには科学的な根拠があります。
噛む回数を増やすと唾液が多く分泌され、スムーズな消化を促進。
また、噛むことで満腹中枢が刺激され、食べ過ぎの予防にもなります。
さらには、噛むという動作が脳の血流を促し、脳の活性化や集中力のアップに
つながることも指摘されています。


ふんわり、とろ~り、の食べ物を楽しむ一方で、たとえば小魚や乾物、
繊維質の多い根菜など、かみ応えのある食品を意識的に日々の食卓に取り
入れてみてはいかがでしょう。
噛む力のアップに努めること。
ひいてはそれが、将来もおいしく食事を楽しむことへと、つながっていくの
です。

(伊藤綾/ライター・オフィスクリオ所属)

http://mainichi.jp/life/health/mibyou/archive/news/2008/20080912org00m100030000c.html

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鎌倉時代は2〜3歳から離乳食

鎌倉時代は2〜3歳から離乳食

(産経新聞 2007年11月26日)
<第23回正論大賞>
「鎌倉時代は2歳から離乳食 授乳期間短縮で人口増加?」


遺跡から出土した鎌倉時代の人骨を調べたところ、当時は2歳
前後で離乳食を始めていた可能性が高いことが、東京大の米田穣・
准教授(先史人類学)と大学院生の下見光奈さんらの26日までの
研究で分かった。

現在の日本では生後5カ月前後から離乳食を始め、同1年から
1年半で完了する例が多いが、米田准教授によると人間の授乳
期間はもともと、2歳より相当長いとみられる。

研究結果は、離乳食に穀物などを与えるようになって進んだ授乳
期間の短縮が、中世にはかなり進行していたことを示しており、
米田准教授は「授乳期間が短くなれば次の出産が早く可能になる。
離乳の早期化は人口増とも関連している」と指摘している。


米田准教授らは、母乳を飲んでいる間は体内に「窒素15」という
特殊な窒素が蓄積し続け、離乳食を食べ始めると減ることに着目。
鎌倉時代の人骨が大量に出土した由比ガ浜南遺跡(神奈川県
鎌倉市)の0−16歳の人骨48体で、骨のタンパク質に含まれる
窒素15の量を計測した。

0−3歳で特に値が高く、年齢別の平均値で比較すると、2.5歳と
3.5歳の間で大きな差がみられた。
食物中の窒素15が骨に取り込まれるまでの時間差があることなどを
考慮し、離乳食の開始時期は2歳前後だと推定した。

食べ物の変化による離乳の早期化は、狩猟採集が中心だった縄文
時代から農耕が普及した弥生時代にかけての人口増に影響した
のではないかという。



<離乳食>
母乳やミルクなどの乳汁栄養から幼児食へと移行する時期に乳児に
与える食べ物。
厚生労働省の調査では、開始時期は平成17年には「生後5カ月」が
最も多かった。
日本では離乳初期には米やジャガイモ、ニンジンなどの野菜を
与えることが多く、その後、豆腐や魚、肉などの使用が増える。
ベビーフードの使用も増加している。

http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/071126/acd0711260843004-n1.htm

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寝たきり予防の切り札「口腔ケア術」

[寝たきり予防の切り札 口腔ケア術]

(NHKためしてガッテン 2007年7月11日放送)


今回のテーマは、食べる・飲み込むという動作が満足にできなくなる病気
「摂食嚥下障害」。
(番組では分かりやすさを優先して「飲み込み障害」と名付けました)

こうした症状に悩む人は、お年寄りを中心に全国で推定80万人もいます。
老化や病気が悪化の原因とは限らないこの不思議な症状を大研究!
回復法、予防法(=口腔ケア)を紹介します。
さらに、入れ歯と肺炎の深い関係と、正しい手入れの方法についてもご紹
介します。


<ただごとじゃない!  飲み込み障害の悲劇>
77歳のAさんは、4年前、飲み込む力が衰えたことがきっかけで、肺炎を患い
ました。
直接の原因は、本来、食道に流れるはずの食べ物を、誤って肺に入れて
しまったことでした。
次の肺炎がいつ起こるか分からないという恐怖感から食べられなくなり、
体重は激減。
わずか2か月で62キログラムから50キログラムまで減りました。
そこで栄養不足を防ぐため、胃に穴を開けて栄養剤を直接胃に入れる
「胃ろう」という処置をとることになりました。
その結果、1日のうち7時間をベッドで過ごさなくてはならなくなり、
ほとんど寝たきりの状況にまでなってしまいました。


<なぜ飲み込む能力が弱くなると、肺炎を発症するの?>
人間ののどの奥には、食道と気道を分岐している場所があります。
この分岐点には「気道のフタ」があり、食べ物が気道に入ろうとするのを防ぐ
働きをしています。
上で紹介したAさんは、このフタの働きが弱ってしまったケースです。
フタの閉まりが悪くなることで、本来食道に流れるはずの食べ物を誤って肺に
入れてしまい、これが原因で肺炎が起きたのです。
(誤嚥性肺炎)
※肺炎の発症には、免疫低下など、その他の条件も関係します。


<胃ろうをつけても肺炎のリスクは変わらない?>
フタの働きが弱くなっていると、食べ物だけでなく唾液もうまく食道に送り
込めず、誤って肺に入れてしまうリスクが高まります。
よって、肺炎のリスクは変わりません。
※番組では、栄養不足が懸念される患者に対しては「胃ろう」は重要だと
 考えています。


<発見! これがフタの動力源>
超小型カメラでのどの奥を観察して、飲み込みの仕組みを直接見る実験を行い
ました。
23歳の健康な番組スタッフがセンベイを噛んで飲み込んだところ、気道の
フタがきちんと閉まり、センベイは無事に食道へ送られました。
ところが、フタの働きに大きく関わる「口の中のある部分」に麻酔を打って
感覚を鈍らせ、同様の実験を行うと、今度はセンベイの一部が食道には
行かず、のどの奥に残ってしまいました。

その「ある部分」とは、舌です。
舌は私達の想像よりもはるかに奥のほう、気道と食道の分岐点まで伸びて
います。


<気道のフタの働きを鈍らせたものとは?>
実は気道のフタには筋肉がほとんどなく、逆に筋肉の塊である舌に押される
ことで開いたり閉まったりします。
(実際には舌周辺の筋肉も関与します)
飲み込み障害は、気道のフタの周辺の筋肉が弱ることで起きていたのです。


<気道のフタ周辺の筋肉を弱らせる原因は?>
もともとのきっかけは老化や病気(主として脳卒中)など、さまざまな
ケースがありますが、筋肉がより衰える最大の原因は、その筋肉を使わない
ことです。

使わないことが飲み込むための筋肉の衰えを加速させ、衰えることで肺炎の
リスクが高まります。
その肺炎がきっかけでますます使わなくなり、ますます衰える・・・・・。
飲みこみ障害は、このような悪循環を引き起こすのです。


<Aさんのリハビリ日記>
胃ろうでしか栄養が摂れなかったAさんは、何とか自分の口で食べたいと
リハビリに取り組みました。
すると飲み込む能力を徐々に取り戻し、体重も回復。
1年2か月後には胃ろうも不要になり、自分の口から摂る栄養だけで過ごせる
ようになりました。
寝たきり状態からも脱しました。
※リハビリは、専門家の指導のもと安全に注意して行っています。
 決して自分の判断で真似をしないで下さい。
※リハビリでどの程度の効果が期待できるかは個人差があります。


<飲み込み障害が招く悪循環とは?>
飲み込み障害の本質は、使わないことによって悪化する「廃用症候群」に
あります。
「廃用」とは、「使わない」ことです。
つまり「廃用症候群」とは、使わないことによって衰えることをいいます。
いったん廃用症候群が起こると、食べられなくなって低栄養状態となり、
やがて免疫の低下が起こります。
すると肺炎を発症しやすくなり、また次の廃用症候群が起こるのです。

飲み込み障害のきっかけで最も多いのは病気(主として脳卒中)ですが、
「近ごろ、飲み込むときにムセることが多くなった」と感じる人も要注意。
自分でも気がつかないうちに、軽度の飲み込み障害が始まっている可能性が
あります。
特に、物を食べる、飲み込むという行為は、あまりに日常的すぎて、衰えに
気が付きにくいのです。
こうした現状を受け入れてそのまま放置してしまうと、肺炎を起こすか、
廃用症候群に陥ってしまう可能性があります。
対策としては、各地の介護施設等で行われている「口腔体操」がおすすめ
です。
半年続けると、舌の力が30%アップするなどの効果が期待できます。
家庭でもできる口腔体操は実習コーナーでご紹介します。



<肺炎の危機!>
入れ歯使用者8人に集まってもらい、入れ歯にどれだけ細菌がついているかを
調べました。
すると、6人が自分の想像よりもはるかに入れ歯が汚れていたことが判明
しました。
その中には、市販の洗浄剤で毎日欠かさず手入れをしていた人もいたのです。


<なぜ洗浄剤を使っていても、細菌が落ちないのか?>
細菌には、洗浄剤など化学的な攻撃に対しての防御機能があります。
それが、細菌自身が出すバイオフィルムという物質です。
バイオフィルムは何層にも重なっていて、洗浄剤だけですべてを破壊するのは
困難です。
最善の対策は、ブラッシングでバイオフィルムを物理的に破壊してから、
洗浄剤を使うことです。
洗浄剤は、バイオフィルムが薄い層であるときには高い効果を示します。



<実習コーナー「今すぐできる! ラクラク口腔体操」>
食べる能力・飲み込む能力を高めるために行う口腔体操。
食べ物や自分の唾液をしっかりと食道に送り込むことができるようになる
ことで、肺炎予防の効果が期待できます。
食事の前に合計で10分程度、以下の体操を行うと効果的です。
(1)パタカラ体操
   「パタカラ、パタカラ、パタカラ・・・・・」
   「パ・タ・カ・ラ」をできるだけ早くハッキリと発音することで、
   舌や唇のスピードや、巧みさを養います。
   「パタカラ」にこだわらず、好きな早口言葉を見つけて練習するのも
   よいでしょう。

(2)舌体操
   「舌を前後、左右、上下に動かす」
   舌の力や、動く範囲を向上させる訓練です。
   少々きつく感じる程度がちょうどよいでしょう。
   慣れてきたら、早く動かすとより効果的です。

(3)唾液腺マッサージ
   「耳の下を親指以外の4本の指でもむ」
   「顎の下を親指でしっかりと押す」
   食べ物をうまく噛み、しっかりと飲み込むためには、唾液が不可欠
   です。
   この体操は、唾液を出す能力を高めるためのマッサージ。
   食事の前に行うと特に効果的です。



<まとめのガッテンタワー>
・あれっうまく飲み込めないぞ→使わないから衰える廃用症候群
・食べる筋力アップ口腔体操
・入れ歯の手入れは、1に空みがき、2に洗浄剤
・口は幸せのもと

http://cgi2.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20070711

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肺炎を繰り返す人は、食べ物を上手く飲み込めない人

[死者急増! 肺炎の真実]

(NHK ためしてガッテン 2007年2月21日放送)



10年以上肺炎の治療に関わってきた医師によると、肺炎を繰り返す人には
「食べ物を上手く飲み込めない」人が多いといいます。

そこで水を飲むときにかかる時間(フタが閉まる時間)を調べてみると、
肺炎にかかったことのある人は確かに遅れていました。
このとき何が起こるのかコンピューター上でシミュレーションしてみると、
実はフタのしまりが1秒遅れるだけで、肺にモノが入ってしまうことが分かり
ました。

ある調査によると、肺炎を起こした人の7割にこうしたフタのしまりの遅れが
見られました。
さらに、眠っているときはこのフタのしまりが遅れがちになるため、危険が
高くなります。

肺炎というと風邪の延長と考えられることが多いのですが、こうしたフタの
遅れによりおこる肺炎があったのです。
番組ではこれを「飲みこみ肺炎」と名付けました。



<脳と歯ぐきの関係>
脳の一部に損傷があると、フタのしまりが遅くなる人が多いことが分かって
います。
この場合、フタのしまりを早くする方法として、間接的に脳に刺激を与える
方法が考えられます。

ある研究では、歯ぐきを刺激すると脳が活性化し、フタのしまりが早くなる
ことがわかっています。
そこで番組では、歯ぐきを刺激すると脳がどうなるか、実験を行いました。

脳の活動を調べる特殊な機械で、口などの感覚をつかさどる部分を調べて
みます。
歯だけをみがいたときに比べ、歯と歯ぐきを同時にみがいたときにその部分が
活性化することが分かりました。
歯ぐきには神経が多く通っているため、刺激により脳が活性化したと考え
られます。

「歯と歯ぐきをみがく」──これが肺炎の最新予防法だったのです。


  □   □   □   □   □   □   □


<肺炎による死者はなんと年間10万人以上!>
実はいま、薬が効きづらい細菌が増え、治療が難しくなっているのです。

しかもガッテンが調べると、健康な人でも肺炎の原因になる細菌が住み着いて
いる人がたくさんいるとの結果が。

そこで徹底的に調査すると、意外な場所に細菌から肺を守るポイントがある
ことがわかりました!
全国11の介護施設で肺炎による死亡率を半減させた新予防術を伝えます。


<肺炎ってこんな病気>
肺炎の死亡者は戦後激減したにもかかわらず、この20年間でなんと2倍以上に
まで増加しています。
その原因のひとつは高齢化。
そしてもうひとつの理由は、薬が効きづらい細菌が増えていることです。
まずは、肺炎という病気そのものについて見ていきましょう。


<肺炎ってどんな病気?>
肺が炎症を起こす病気が肺炎です。
その最大の原因は細菌。

細菌は炎症を起こすだけでなく、ひどくなると毒素を出して肺に穴を開け、
ウミで肺が機能しなくなる場合もあります。
さらに全身に菌が広がると、死に至ることもあります。
細菌は炎症だけではなく、さまざまな症状を起こすおそれがあるのです。

こうした症状を起こす細菌には、たくさんの種類があります。
これが私たちの体に住み着いていたら嫌なモノ。
そこで大調査を行いました。


<まさか私が!? 細菌大捜査線>
全く健康な人には、肺炎の原因になる細菌が住み着いていないのでしょうか?
そこで大調査を行いました。

10代~50代で10人、高齢者10人、保育園児10人と、年代別に合計30人の
ノドや鼻の奥を調べ、肺炎の原因になる細菌がいないかどうかを調べました。
すると、肺炎を引き起こす毒性の強い細菌が発見されたのはとっても元気な
保育園児のAちゃんでした。
いったいなぜ?


<肺炎の原因菌調査の結果>
 ・ 一般(10代~50代)の10人中 肺炎の原因になる細菌が
     見つかった人: 5人
 ・高齢者(65歳以上)の10人中 肺炎の原因になる細菌が
     見つかった人: 5人
 ・保育園児の10人中 肺炎の原因になる細菌が見つかった人:10人全員。

うち8人には、肺炎を引き起こす強い毒性を持つ「肺炎球菌」が見つかり
ました。

ここで疑問なのは、肺炎にかかる人や亡くなる人には高齢者が多いにも
かかわらず、幼児のほうが細菌を持っている率が高かったということです。
その理由を知るために、まずは肺炎球菌の正体を探ります。


<幼児と肺炎の原因菌>
専門家によると、幼児はほぼ全員が何らかの原因菌を保菌していると考え
られます。
これは、幼児の免疫が未熟であることが原因です。
しかし幼児は後ほど述べるように、肺に細菌を入れないシステムがしっかり
しているため、なかなか肺炎にはなりません。

幼いお子様がいて心配な方は、
 (1)毎日のうがいや歯磨きをしっかりする
 (2)風邪やインフルエンザ等に罹患した場合にはすぐ医師の診察を受ける
などの対策を行ってください。


<肺炎球菌って何?>
私たちの体を細菌などの外敵から守ってくれるのは「免疫細胞」。
肺炎の原因になる細菌が増えるのを防いでくれます。

しかし肺炎球菌の場合、肺炎球菌の周りを夾膜(きょうまく)という膜が
囲っているために、免疫細胞が認識できず退治できないことがあります。
こうした原因のため、肺炎球菌によって肺炎になると重症化しやすいのです。

このように、肺炎球菌は恐ろしいものですが、これを持っている幼児はなぜ
肺炎にならないのでしょうか?
その理由は私たちの体の仕組みにありました。

肺炎を起こす細菌が住み着くのは、鼻やノドの奥です。
実は、細菌はここにいるうちは、ワルサをすることはほとんどありません。
細菌が肺に入って増殖すると、初めて肺炎が起こるのです。

ノドの奥と肺は、「気道」という管でつながっています。
管でつながっているのに、普段細菌は肺に入ることがありません。
実はここにこそ、私たちの体の驚くべき仕組みがあったのです。



<肺に入らぬハイクオリティー>
ノドの奥に特殊なカメラを入れてみてみると、途中から2つにわかれている
ことが分かります。
1つは肺につながる「気道」。
そしてもう1つは胃につながる「食道」です。

試しに水を飲み込んでみると、カメラが何かに押され、映像が
真っ白になりました。
先生に聞くと、これは「ノドにフタができた」状態だといいます。



<ノドの「フタ」とは?>
ものを食べたり飲んだりをした際、それらは食道へと向かいますが、気道には
入りません。
食べ物や飲み物が分岐点に来た瞬間、ノドにあるフタが閉まって、気道への
入り込みを防いでくれるからです。

フタが閉まるスピードを特殊なMRIで見てみると、ノドの奥に水がぶつかった
瞬間、フタを閉める動きが始まっていることが分かります。
そこからフタが閉じきるまで、なんと0.7秒!
私たちの体はこれほどの早業を行って、肺を菌から守っているのです。

私たちが生きていくためには呼吸しなければならないので、ふだん気道は
開いている必要があります。
一方で、食べたり飲んだりすることも生きるためには必要です。
しかし口の中には菌が一杯。
もし食べ物が気道に入ったら、細菌が肺に侵入してしまいます。

そこで、フタを必要なときだけ閉め、その後食べ物が通ったら瞬時に開き
ます。
そうやって「呼吸」と「食事」を両立させ、なおかつ細菌から肺を守っているのです。

しかし、このフタのシステムが少しでもおかしくなると、大変な結果に
つながってしまうこともあるのです。



<細菌侵入! そのとき何が>
10年以上肺炎の治療に関わってきた医師によると、肺炎を繰り返す人には
「食べ物を上手く飲み込めない」人が多いといいます。

そこで水を飲むときにかかる時間(フタが閉まる時間)を調べてみると、
肺炎にかかったことのある人は確かに遅れていました。
このとき何が起こるのかコンピューター上でシミュレーションしてみると、
実はフタのしまりが1秒遅れるだけで、肺にモノが入ってしまうことが分かり
ました。

ある調査によると、肺炎を起こした人の7割にこうしたフタのしまりの遅れが
見られました。
さらに、眠っているときはこのフタのしまりが遅れがちになるため、危険が
高くなります。

肺炎というと風邪の延長と考えられることが多いのですが、こうしたフタの
遅れによりおこる肺炎があったのです。
番組ではこれを「飲みこみ肺炎」と名付けました。


<自分のフタが閉まる時間を測定できないか?>
残念ながら、できません。
また、「モノを飲み込みづらい」などの自覚症状だけでは本当に遅れているか
どうか判定できません。
「食事をするときに必ずむせる」などの自覚症状があれば、まず医療機関で
診察を受けることをお薦めします。
今回番組で行った実験は専門家のもと安全に最大限の配慮をして行いました。
決してご自分でなさらないようにお願いします。


<脳と歯ぐきの関係>
脳の一部に損傷があると、フタのしまりが遅くなる人が多いことが分かって
います。
この場合、フタのしまりを早くする方法として、間接的に脳に刺激を与える
方法が考えられます。

ある研究では、歯ぐきを刺激すると脳が活性化し、フタのしまりが早くなる
ことがわかっています。
そこで番組では、歯ぐきを刺激すると脳がどうなるか、実験を行いました。

脳の活動を調べる特殊な機械で、口などの感覚をつかさどる部分を調べて
みます。
歯だけをみがいたときに比べ、歯と歯ぐきを同時にみがいたときにその部分が
活性化することが分かりました。
歯ぐきには神経が多く通っているため、刺激により脳が活性化したと考え
られます。

「歯と歯ぐきをみがく」──これが肺炎の最新予防法だったのです。


<“歯と歯ぐきみがき”の注意点>
 ・ 柔らかめの歯ブラシを使って下さい。
 ・歯ブラシをあてるのは歯と歯ぐきの境目です。
 ・力を入れず、優しく小刻みに歯ブラシを動かして下さい。
 ・歯ぐきだけではなく、舌や上あごなど口全体をみがくと効果が高まります
 ・通常の歯みがきと併せて3分~5分が11回の目安の時間です。
 ・入れ歯の方の場合でも、歯ぐきや口全体をみがくことで予防の効果が期待
     されます。
     その場合、入れ歯を外してみがいてください。

<注意>
決して力を入れないで下さい。
血が出るほど行うと炎症が起きる原因になります。
また歯周病などがある方はその治療を済ませてから行って下さい。



<肺炎予防の鉄則>
 (1)インフルエンザ・かぜに注意
 (2) “歯と歯ぐき”をみがく
 (3)65歳以上の場合、肺炎球菌ワクチンを接種する


なお、この肺炎球菌ワクチンについて気になる情報があります。


<肺炎球菌ワクチンの真実>
いま話題の最新兵器、肺炎球菌ワクチン。
肺炎球菌による肺炎を予防する効果があるということで、高齢者を中心に打つ
人増えています。
しかし医師からは、「ワクチンでは肺炎そのものは予防できない」とも
いわれています。

実は肺炎球菌ワクチンは、肺炎の発症そのものを完全に予防することはでき
ません。
しかし、肺炎が重症になるのを防ぎ、入院するまでひどくなることや死に至る
ケースを減らすことができます。


<肺炎球菌ワクチンの注意点>
 ・接種を勧められるのは、高齢者(65歳以上の方)、慢性呼吸器疾患・
     心不全・腎不全・肝硬変・糖尿病の患者さんなど肺炎にかかり
     やすい方々です。
 ・肺炎球菌ワクチンとインフルエンザワクチンの両方を打つことによって、
  肺炎の予防効果が高まることが確かめられています。
     ただし両方のワクチンを接種する際は、時期をずらして打つことが
     勧められています。
 ・このワクチンには健康保険がききません。
     費用は病院によっても違いますが、1回8,000円程度です。
     (自治体独自になんらかの補助制度を持っている場合もあります)
 ・1回ワクチンを打てば、5年間は効果があるというデータが出ています。
     ただし、過去にワクチンの接種を受けたことのある人は、再接種は
     できません。
     (2回以上接種することはできません。)


<先生のまとめのお話>
高齢になるとフタのしまり以外にも、咳の反射や免疫力など肺炎から体を守る
システムがどうしても衰えます。
「歯と歯ぐきみがき」や「肺炎球菌ワクチン」など予防の手だてをとることが
大事です。

http://cgi2.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20070221

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