[皮膚 円形脱毛症:6 情報編 ほかの病気との見分けが重要]

(朝日新聞  2010年12月26日)


髪の毛や体毛が抜ける円形脱毛症(AA)は、大きく分けて5種類ある。

硬貨大の脱毛は「単発型」で、自然に治ることが多い。
数カ所あるのは「多発型」。
範囲が広がり、ほとんどの頭髪が抜ける「全頭型」や、まゆ毛などを含めて
全身に及ぶ「汎発(はんぱつ)型」だと、治療に時間もかかって治りにくく
なる。
耳のまわりや後頭部など、生え際が帯状に脱毛する「蛇行型」も難治性だ。


この病気は、近年になって、自分の毛根を異物として攻撃してしまう自己
免疫の病気ではないかと考えられるようになった。
ただ、治療法は確立していない。


日本皮膚科学会が今年発表した「円形脱毛症診療ガイドライン」では、
「行うよう強く勧められる」推奨度Aの治療はなく、ステロイドの局所
注射と、わざとかぶれさせて攻撃対象を変える局所免疫療法の2つだけが
「行うよう勧められる」の推奨度Bとされた。
それ以外は「行ってもいいが十分な根拠はない」「行わないほうがよい」
などとされた。


ガイドライン作成委員長で鳴門病院(徳島県)院長の荒瀬誠治さんは「医師が
効果を実感できても、科学的根拠を示せなかったり副作用を考えたりして
Bにならなかったものがある」と説明する。
欧州で行っている治験などの進展により、ガイドラインで推奨する治療法が
新たに加わる可能性があるという。


診察で重要なのは、本当にAAかどうかを見極めることだ。
順天堂大先任准教授の植木理恵さんによれば、はじめは全頭型だと思われて
いたのに、実はひどい貧血が原因だったり、甲状腺の病気や膠原病などに
伴って毛が抜けたりしていたケースもあるという。

小学高学年から中学生の女の子では、精神的ストレスなどをきっかけに自分の
髪の毛を抜いてしまうトリコチロマニア(抜毛症)を起こしている可能性も
ある。


AAは幅広い年代で発症しているが、「小さい子どもほど広範囲に抜けて
しまいます」と植木さん。
精神的ダメージを軽減するためにもカツラの使用が勧められているが、
成長期の子どもなら数十万円するカツラを毎年つくる必要があり、その負担は
大きい。


原因が特定されず、治療法も確立していないAA。
患者団体の「円形脱毛症コミュニケーション」では、AAの難病(特定疾患)
指定やカツラの費用負担軽減対策を求め、署名を集めている。

(斎藤孝則)


http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201012260141.html   


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