災害被害者の特定に役立つ新しい歯型照合システム
[災害被害者の特定に役立つ新しい歯型照合システム]
(HealthDay News 2007年11月27日)
大きな災害の際に、被害者の身元確認に要する時間を大幅に削減する新しい
自動特定システムが日本の研究グループにより開発され、米シカゴで開催
された北米放射線学会(RSNA)年次集会で発表された。
この方法により、地震、津波、飛行機墜落事故、テロなどの際の保健当局に
よる対応も改善できると研究グループは述べている。
今回の研究を率いた神奈川歯科大学(横須賀市)の小菅栄子氏によると、
遺体の損傷が大きく身元の確認が困難な場合、歯の治療記録が最後の手段で
あることが多いという。
しかし、被害者の数が多いと、手作業による照合では遺体の特定に膨大な
時間がかかり、誤りも格段に多くなる。
例えば、1985年の日本航空機墜落事故では、犠牲者520人中325人に歯型の
照合が必要とされ、2,800人以上の医師、歯科医師、および法医学者が3カ月
かけてすべての遺体を特定したという。
この新しい歯型照合システムは、「位相限定相関法(POC)」という技術を
利用したもので、ソフトウェアにより、歯科X線写真によくみられる歪みを
自動的に調整、補正できる。
小菅氏らは、このソフトの実用性を検討するべく、日本人の患者60人の歯科
治療前および治療後のX線写真を分析。
POCによる画像補正の後、コンピューターがそれぞれのX線写真に最も近い
画像を3点、平均3.6秒で選出。
その後、法医学の専門家らが最終的な評価を実施した。
POCによる1回目の照合では患者の87%が正確に認識され、2回目で98%、
3回目で100%に達したという。
このシステムにより、法医学的作業が 95%削減できると小菅氏らは推定して
いる。
遺族の感情面の混乱も軽減できるという。
「日本では亡くなった人を数日から1週間以内に火葬する慣習があるが、
大切な人を失っただけでなく、正式な葬儀の手順も踏むことができないと
なれば、遺族の痛みは計り知れない」と小菅氏はいう。
このシステムが採用されれば、少なくとも正式な葬儀を行うことができる。
米国の専門家もこのシステムの有用性を認めているが、歯型の照合がどの
ような場面でも役立つというわけではない点を指摘している。
2001年の同時多発テロでは、ニューヨークでの犠牲者約3,000人のうち、
歯型により身元を特定できたのは約1,500人にとどまったことを挙げ、歯も
残らないような災害ではこの方法は使えないと述べている。
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