ヒトパピローマウイルスとは
[ヒトパピローマウイルス]
(Wikipedia)
東京都による調査によれば、383検体の遺伝子の検出調査の結果、約43%
(154検体)からHPV遺伝子が検出された。
発ガンリスクにより分類したところ、低リスク群が6.5%(25検体)、
高リスク群は24.8%(95検体)であった。
受診者の年代別のHPV検出率では、若い世代での検出率が高く、高リスク群
では10代と50代での検出率が高い傾向がみられた。
ヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)はパピローマ
ウイルス科に属するウイルスの1つ。
「ヒト乳頭腫ウイルス」とも言われる。
パピローマまたは乳頭腫と呼ばれるいぼを形成することから名付けられた。
<性状>
環状構造の2本鎖DNAウイルス。
全世界的に古くから存在していた。
現在では100種類以上の型が報告されている。
欧米の子宮頸癌でよく発見される「16型HPV」の場合、初期遺伝子(E1、E2,E4,E5,E6、E7)と後期遺伝子(L1、L2)という蛋白をコード
していると推定される遺伝子ORFを持っている。
その中で特にE6とE7が発癌に関与していると考えられている。
E6はがん抑制遺伝子である「p53」と結合し分解することで発癌に寄与して
いる。
E7はp53と同様がん抑制遺伝子である「pRb」と結合、分解・不活化する
ことでpRbと結合している転写因子であるE2Fを遊離し活性化することで
発がんに寄与している。
通常、ウイルスは自己の複製を促すため感染細胞の増殖能を上げるために
分化を抑制することが多いが、HPVのゲノム複製は分化依存的に行われる。
そのため、単層培養系ではウイルスのライフサイクルを再現することが
出来ず、純培養が不可能なウイルスである。
<種類>
HPVは現在100種類以上存在が確認されている。
・感染部位による分類:上皮型、粘膜型
・発癌性による分類:低リスク群、高リスク群
<感染方法>
接触感染で皮膚や粘膜に感染する。
多くの感染は一過性で、免疫により排除される。
しかし、一生涯有効な免疫記憶は形成されず何度も感染する。
近年では、アメリカにおいて口腔癌、舌癌、喉頭癌などの拡大要因だと指摘
されており、オーラルセックスが原因だと考えられている。
<臨床像>
一般に上皮に対する親和性が強く、それぞれ種類によって生じてくる疾患は
異なっている。
・尖圭コンジローマ:主にHPV6、11型が原因
・子宮頚癌:主にHPV16、18型が原因
・疣贅:皮膚に出来るイボ。
<ワクチン>
米国メルク社より尖圭コンジローマと子宮頸癌の原因ウイルスであるHPV6、
11、16,、18型のワクチン「商品名ガーダシル」が開発され、2006年6月に
アメリカ食品医薬品局で承認された。
WHO世界保健機関から品質や安全性の基準など満たすワクチンとして認定
されている。
あくまでワクチンなのですでにHPVに感染した人に対しては無効であり
既感染者への接種はスティミュレーションによる悪化を危惧する学者もいる。
本ワクチンには治療・再発予防の効能は無い。
26歳以上の女性に安全・有効であるかの検証は現在進行しているところで
ある。
次いで英国グラクソ・スミスクライン社よりHPV16、18型のワクチン
「商品名サーバリクス」が開発され、2007年5月に10歳~45歳の女性用と
してオーストラリアの医薬品審査当局で承認された。
有効性認可はないがHPV31、45型などの他の腫瘍性HPV型に対しても予防
効果も示唆されている。
日本では2007年9月にグラクソ・スミスクライン社がサーバリクスの承認を
申請し、次いで2007年12月に万有製薬(メルク社100%子会社)がガーダシル
の承認を申請した。
サーバリクスは日本では2009年10月に承認されたワクチンである。
グラクソ・スミスクライン社の開発ワクチンが認可され、欧米では子宮頸がん
予防に大いに貢献できると期待されているワクチンである。
しかし、欧米ではHPV 16型と18型の割合が多いのに対し、日本では
HPV52型、58型が多いので、日本でどの程度欧米型二価ワクチンの
サーバリクスが有効かは未知数である。
注意しなければならないのは、本ワクチンは子宮頸癌等の定期健診を不要に
するものではないことである。
ガーダシルなら6、11、16、18型、サーバリクスなら16、18型以外が原因に
なる癌には効果が認定されておらず、ワクチン接種時点での既感染ウイルス
にも無効である。
WHOなど世界の多くの機関・団体で、ワクチン接種に加えて接種後の定期
健診が重要だとしている。