母乳は乳幼児の虫歯リスクを高めない?
[母乳は乳幼児の虫歯リスクを高めない]
(薬事日報 2007年)
(HealthDay News 2007年10月1日)
長年にわたり母乳と乳幼児の虫歯(齲蝕)との関連性が懸念されてきたが、
母乳は乳幼児の虫歯リスクを増大させないことが、米医学誌「Pediatrics」
10月号掲載の新しい研究で明らかにされた。
虫歯の孔(窩洞、キャビティ)の誘因として考えられるのは、妊娠中の喫煙、
貧困などであるという。
米ロチェスター大学(ニューヨーク州)などの研究者らは、1999〜2002年の
全米保健栄養調査(NHANES)に参加した家族の乳幼児 1,576人を対象に、
母乳と乳幼児の口腔衛生との関連性を検討。
人口学的背景、口腔衛生のデータ、乳児の栄養に関する情報を分析した。
その結果、乳幼児の27.5%には虫歯の孔のために詰め物をした歯や抜いた歯が
1本以上あり、その原因となる重症の早期小児虫歯は10人中1人にみられた。
メキシコ系アメリカ人の乳幼児の40%超、米貧困基準を下回る家庭の乳幼児の
41.3%に1個以上の虫歯の孔があり、貧困家庭の乳幼児の18.6%に重症の
早期小児虫歯があった。
母親が19歳以下の場合も早期小児虫歯のリスクが高かった。
貧困状態や出産時の母体の年齢、出生前での母親の喫煙などの因子を除くと、
早期虫歯のリスクは母乳により40%低減した。
また、母乳を用いたメキシコ系アメリカ人や貧困家庭の小児では、母乳を
用いてない場合も含め他の小児より虫歯が多かった。
研究著者であるニューヨーク州健康局のHiroko Iida氏は「小児歯科医や
公衆衛生医は、低収入の家庭の親や喫煙癖のある母親、メキシコ系アメリカ人
の家庭の親に口腔衛生に関する指導を行うべきだ」とし、2歳児の10人に
1人、5歳児の約半数(44%)に虫歯の孔が認められることから、乳幼児に
対する予防歯科治療の重要性を訴えている。
母乳が牛乳より虫歯を引き起こしやすいことを示した2005年のラットを
用いた研究は、母乳と虫歯の孔に関する懸念をもたらすものの1つだが、この
研究の共著者で母乳賛成派のRuth Lawrence博士は、今回の知見を、授乳中の
母親を安心させるために用いるつもりだという。
米国小児歯科学会(AAPD)スポークスマンのPaul Casamassimo氏は「この
文献では母乳と虫歯の孔の関連性は不明だが、その関連性を示す報告も
いくつかある」として慎重な姿勢を見せている。
AAPDでは両親に対して、食物や飲料による虫歯の孔のリスクを最小限に
抑えるよう指導している。
http://www.healthdayjapan.com/