[噛む効用(1) 唾液 活性酸素を撃退]

(読売新聞2008年12月10日)


テレビで体にいいと言われた食べ物が突然スーパーで品切れになるなど、何を
食べるかに関心を持つ人は多い。
しかし、食べ物を体内に取り込む際の「噛む」という動作が、どれほど健康と
かかわっているかは意外と知られていない。

食べ物を歯で噛み砕き、唾液を混ぜて、飲み込みやすい大きさの塊にする。
下顎や舌が連動した「咀嚼」とは、こんなに複雑な動作だ。
日本歯科大教授の小林義典さんは「咀嚼の神経回路は、呼吸や姿勢保持、血液
循環などと同様、脳幹にある。咀嚼が、いかに生命維持に重要かを示して
いる」と話す。


ところがファストフードに象徴される軟らかい食べ物の普及で、現代人の
平均的な咀嚼回数は、戦前に比べて約6割も減っている。

それによって生じる問題の1つが、食べ物を噛みしめるほど多く分泌される
唾液の減少だ。
唾液には、糖分を分解するアミラーゼなどの消化酵素が含まれていることは
知られているが、それは多様な機能の一部に過ぎない。
小林さんによると、歯の汚れの除去や粘膜の傷の修復、歯の補強、抗菌作用や
免疫強化のほか、ウイルスを直接攻撃してくれる免疫細胞を増やす作用も
あるという。
毒消し効果もある。
日常の食べ物には栄養素だけでなく、微量ながら発がん性物質を含む物も
多い。
その多くが、わずか30秒間、唾液に浸されるだけで毒性がほとんど消えると
いう。
発がん性物質が作り出す活性酸素は、がんや老化につながるが、唾液中に
含まれるペルオキシダーゼなどの酵素は、その活性酸素消す作用を持っている
ためだ。

小林さんは「『一口30回以上噛め』といわれるが、唾液の機能を十分発揮
させるためにも、そのぐらいの時間が必要ということ」と説明する。



<唾液の多様な機能>
 ・酵素で食べ物を消化する
 ・歯の汚れを洗い流す
 ・食道や胃の粘膜を保護する
 ・歯のエナメル質保護や再石灰化促進
 ・細菌の発育を抑える
 ・免疫力を強化する
 ・食物の発がん性を減らす
 ・活性酸素の消去
 ・成長を促すホルモンを分泌する

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/plus/20081210-OYT8T00311.htm

————————————————–

咬合・噛み合わせキーワード目次

口腔乾燥症(ドライマウス)キーワード目次