[インプラントで困ったら(1) 神経圧迫 歯茎に激痛]
 
(読売新聞 2010年7月21日)


千葉県市原市のA子さん(62)は今年4月、千葉市の東京歯科大千葉病院で、
右下の奥にある2本のインプラントを取り除く手術を受けた。
歯を失った歯茎の骨に、金属の軸を埋め込み、その上に義歯を固定する
インプラント。
10年前に入れたものだ。

インプラントにして以後、下唇から顎にかけての皮膚のしびれや麻痺が続いて
いた。
年に3~4回は、歯茎が激しく痛んだ。
痛み始めると鎮痛薬を飲んでも半日は何も手に着かない。

高額な費用がかかった治療だけに、「いずれよくなる」という歯科医の言葉に
すがる思いだった。
しかし、痛みの我慢も限界に達し、大学病院を受診、インプラントの除去を
勧められた。


診察した同大口腔インプラント科教授の矢島安朝さんによると、下あごの骨の
中には、神経や血管が通る細い管がある。
通常、この管に達しない長さのインプラントを埋め込む。
しかしCTなどのエックス線画像を読み間違えたり、穴を開けるドリルの
操作を誤ると、神経を傷つけてしまう。

A子さんのCT画像を診ると、インプラントが神経を圧迫していた。
当初の手術が不適切だった可能性が高い。
矢島さんは「しびれや麻痺の治療は早ければ早いほど回復が期待できる。
手術後に異常を感じたら、早急に原因を突き止め、治療を行ったほうがいい」
と話す。
 
A子さんは、神経を圧迫していたインプラントを取り除き、神経組織の再生を
促す薬のメコバラミンを飲んでいる。
突然の激痛に襲われることはなくなったが、長い年数がたっているため、
麻痺がどこまで回復するか分からないという。
歯がなくなって不便なので、今度は入れ歯にするつもりだ。


歯を失った時の治療として、入れ歯に代わり、インプラントが広がっている。
1本30万~40万円程と高額だが、見た目は自分の歯と変わらず、入れ歯の
ような不都合がない。
「第2の永久歯」「すぐかめる」「一生使える」と宣伝される。

一方で、治療がうまくいかず、インプラントが新たな悩みになってしまう
患者も一部で出ている。

矢島さんは「手術後に、しびれが続くなど調子が悪く、治療した歯科医で
問題が解決しない場合は、インプラント科や口腔外科がある大学病院などを
受診してみてほしい」と話す。


広がるインプラント治療で、患者が「困った時」の対処法を考える。

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=28252

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