うつ病に伴う症状で、不眠と並んで多いのが、実は痛みだ
[シリーズ痛み こころ(4) うつ症状 体にも出る]
(読売新聞 2010年5月28日)
頭に硬い輪をはめられ、ぎゅーっと締め付けられるような重い感覚だった。
神奈川県相模原市の女性(41)は長女(12)を出産して間もなく、頭痛に
悩まされるようになった。
しばらく市販の頭痛薬を使ったが効果はなく、2002年秋、知人の紹介で
同市の「ゆたかクリニック」名誉院長の村崎光邦さん(北里大精神科名誉
教授)の診察を受けた。
どのように痛むのかを一通り伝えたところ、村崎さんから意外なことを質問
された。
「毎日の料理は、どうしていますか」
もともと、お菓子作りが趣味で料理は大好き。
高校卒業後、昼間は働きながら、夜間に専門学校に通い調理師免許を取得した
ほどだ。
だが、受診したころは、料理を作るのも献立を考えるのも苦痛だった。
毎日お昼を過ぎると、頭の中は、「夕食、どうしよう」と強い不安で
いっぱいになる。
なのに、献立を1品も思いつかない。
台所に立つ気力もわかなかった。
「以前は、とりあえずスーパーに行ったこともあったけど、外出する気にも
ならない。夫が自分で料理を作る時は、食欲もないので布団の中にいます」
なかなか眠れず、夜中に何度も目が覚めることもあった。
抑うつや不眠などの症状から、村崎さんは、女性を「うつ病」と診断した。
うつ病は、脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン)が少なく
なり、発症すると考えられている。
これらの物質が不足すると、痛みも感じやすくなるとされる。
うつ病に伴う症状で、不眠と並んで多いのが、実は痛みだ。
2009年の研究では、うつ病患者約300人のうち6割が頭や背中、おなかに
痛みがあると答えた。
この女性のように、抑うつ気分よりも、体の痛みの症状を強く訴えて受診する
ケースもある。
女性は抗うつ薬を服用したところ、頭痛や抑うつ的な気分も良くなった。
村崎さんは、「患者も医師も、うつ病は気分の落ち込みや意欲の低下などの
心の病気という印象が強く、身体的な症状が出ることはあまり知られて
いない」と説明する。
内科や整形外科を最初に受診した場合に、診断や治療の遅れにつながる心配も
ある。
このため、精神科医と一般開業医が連携し、うつ病の早期診断と適切な治療に
つなげようとの地域的な取り組みも進められている。
<うつ病の主な身体症状>
・頭痛
・腰痛
・肩こり
・腹痛
・不眠
・食欲低下
・だるさ
・めまい
・便秘
・下痢
<うつと痛みの関係について>
2009年11月、製薬会社2社が実施したインターネット調査では、うつ病
治療中の患者約300人のうち6割が、身体の痛みを持っていた。
部位別にみると、
・頭痛 (33.7%)
・体全体の痛み (25.8%)
・背中の痛み (24.7%)
・胃腸など消化器系の痛み(15.7%)
の順だった。
また、診断前に痛みがうつ病の症状だと知っていた人は2割にとどまった。
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=25764
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