[顔面神経麻痺(1)突然異変 原因分からず]

( 読売新聞 2008年4月7日)


<突然異変 原因分からず>
東京都の藤野良洋さん(64)は昨年11月、車を運転中、顔がこわばるような
違和感を感じた。
「寒いせいかな?」と気にかけずにいたが、翌朝、鏡を見ると、顔の左半分が
右側に比べて3センチも垂れ下がっていた。
痛みはないのに、顔の左半分だけ、額もまぶたも唇も、まったく動かない。

近所の脳神経外科で、「顔面神経麻痺だと思います」と言われた。

顔面神経麻痺は、脳から顔の筋肉につながる顔面神経が障害を受ける病気で、
脳梗塞、脳腫瘍、中耳炎などの病気で起きることがある。
だが、最も多いのは、はっきりした原因が分からない「ベル麻痺」と呼ばれる
ものだ。
藤野さんも脳の検査で異常がなく、「ベル麻痺」と診断された。

傷ついた顔面神経の腫れをとるステロイド薬を1週間分、処方された。
あとはリハビリをしながら、自然に顔面神経が再生するのを待つしかないと
いう。

左目のまぶたが閉じないので、涙が流れっぱなし。
視界がぼやけ、つまずくこともあった。
寝る時は、ばんそうこうを張って目をふさいだ。
唇も左半分が動かず、ごはんをぽろぽろこぼした。
外出すると、周囲の人から避けられることもあった。
「自分は男だからいいが、若い女性はつらいだろうな」と思った。


手稲渓仁会病院(札幌市)耳鼻咽喉科部長の古田康さんによると、ベル麻痺は
年齢や性別を問わず、突然起きる。
最近、体内に潜伏していた単純ヘルペスウイルスや、水ぼうそう・帯状疱疹の
ウイルスが活性化して顔面神経を傷つけ、麻痺を起こすことが多いと分かって
きた。
ステロイド薬に加え、抗ウイルス薬を併用することもある。

麻痺の程度が軽ければ、1〜2か月で完全に治る。
顔の半分がまったく動かない場合でも、完全に治る率は80〜90%。
残りの10〜20%は、顔の動きの左右差や、けいれん、ひきつれなどの
後遺症が残ることがある。

古田さんは、顔面神経まひの詳しい情報をホームページ
(http://www.ne.jp/asahi/hokudai/oto/index.html)
で紹介している。
「早めの診断と治療が重要。異変があったら、すぐ医療機関を受診して」と
呼びかける。

治療は、耳鼻咽喉科、脳神経外科、神経内科などで受けられる。


約5か月たち、藤野さんの麻痺は少しずつ回復し、左目も完全ではないが
閉じるようになった。
「突然のことで驚いた。気長に回復を待つしかない」と話す。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080407-OYT8T00203.htm