[顔面神経麻痺(4)「ベル麻痺」9割以上治癒]

( 読売新聞 2008年4月10日)


顔面神経麻痺について、名古屋市立大耳鼻咽喉科教授の村上信五さんに聞き
ました。


<顔面神経麻痺は、どんな病気ですか>
顔の表情を作る「表情筋」につながる顔面神経が傷つき、顔面が動かなくなり
ます。
ほとんどは左右どちらかに症状が出ます。


<原因は何ですか>
約6割は原因不明で、突然発症します。
報告者の名前をとって「ベル麻痺」と呼びます。

2番目に多く、約15%を占めるのが「ハント症候群」で、耳の帯状疱疹による
発疹や耳の痛みを伴います。
これは顔面神経に潜伏していた水ぼうそうのウイルスが何らかのきっかけで
再活性化して起きます。

ほかに中耳炎、頭のけが、耳下腺がん、白血病、糖尿病など様々な病気の人
にも発症します。
脳の病気で起きることもあり、言語障害や手足のしびれを伴うなどの特徴が
あります。


<どのような治療をしますか>
原因である病気がはっきりしている場合は、まずその治療をします。

ベル麻痺や頭のけがにはステロイド薬、ハント症候群ではステロイドに
抗ウイルス薬を加えます。
最近では、ベル麻痺の中にヘルペスウイルスや、ハント症候群と同じ
水ぼうそうのウイルスが原因であるものが含まれていることがわかり、
ベル麻痺の治療でも抗ウイルス薬を使うことがあります。


<治りますか>
ベル麻痺は、軽症なら自然に治り、重症でもきちんと治療すると9割以上は
治ります。
ハント症候群は重いことが多く、きちんと治療しても75%しか治りません。
薬物治療は3日以内に受けてください。
軽ければ治るまで1〜3か月、重いと6か月以上かかります。


<顔面痙攣とは違うのですか>
顔面神経麻痺では表情筋が動かなくなりますが、顔面痙攣は逆に、表情筋が
勝手にぴくぴく動く病気です。
顔面神経を脳の血管が圧迫して起きることが多く、原因は全く違います。
軽ければ精神安定剤や抗痙攣薬を服用し、重い場合はボツリヌス毒素の
注射や、脳神経外科で圧迫を取り除く手術を行います。


<顔面神経麻痺になったら、何科を受診すればいいでしょうか>
耳鼻咽喉科、脳神経外科、神経内科、形成外科、麻酔科に専門の医師が
います。
顔面神経外来のある病院もあります。
発症したら、なるべく早く病院を受診して治療を受け、重い場合は専門に診療
している医師を紹介してもらうことが大切です。
顔面神経麻痺を専門に研究している日本顔面神経研究会のホームページ
(http://www.fnr.jp/index.php)
も参考にしてください。

(館林牧子)

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/20080410-OYT8T00183.htm