顔面神経麻痺:4 夫の気遣い受け笑顔戻る
- 2010年 4月 30日
- カテゴリー : 水痘・帯状疱疹ウイルス . 顔面神経麻痺
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[顔面神経麻痺:4 夫の気遣い受け笑顔戻る]
(朝日新聞 2010年4月30日)
横浜市の本間京子さん(62)は、西横浜国際総合病院に通い、「ラムゼイ・
ハント症候群」の治療とリハビリを続けたが、なかなか症状が良くならな
かった。
2008年暮れ、自宅で目と口が一緒に動く「共同運動」が出た。
パニックになった京子さんを、夫の実さん(66)は何とか落ち着かせ、床に
就かせた。
先が見えないまま年が明けた。
京子さんは自分がだめになっていくと感じながら、たびたび実さんに
当たった。
実さんも、妻を受け止めなければとわかっていても、厳しく言ってしまう
ことがあった。
病気は恐ろしい。
実さんは思った。
明るくて、笑い声が絶えなかった家の中が、こんなにめちゃくちゃになって
しまうなんて。
月1回、大学病院でカウンセリングを受けた。
主治医の稲葉鋭・耳鼻咽喉科部長(51)=当時=も診察のたび、京子さんの
話に耳を傾け、声をかけた。
「前を向いて、ちゃんと座って。髪で隠さず、顔を上げよう」
京子さんは、実さんが夜、時々、台所で1人、じっと考え事をしているのを
知った。
2人は1970年に結婚した。
実さんが独立して、自分の会社を持ってからは、実さんが現場を仕切り、
京子さんが事務をして支えた。
娘の祐子さん(37)が生まれ、念願のマイホームを持った。
充実した毎日だった。
このままじゃいけない。何かしよう、何かしたい。
そんな気持ちが芽生えていった。
春のある日、実さんは京子さんをオセロゲームに誘った。
祐子さんが小さいころ、家族でよく遊んだ。
楽しいことに集中できれば、その間だけでも、病気を忘れられるのでは、との
思いからだった。
黒が実さん、白が京子さん。
「あら、負けちゃった」
京子さんが声をたてて笑った。
病気になって初めてだった。
「あ、いま、動いたよ」
京子さんの唇の左側が、ほんの少し動いたのを、実さんは見逃さなかった。
「ほんとう?」
何度も鏡を見た。
自分ではよくわからなかったが、うれしかった。
それからは、食べる時も、そばに鏡を置いて、顔を見ながら食べた。
いまは目を動かしている、いまは口、と意識して、集中するようにした。
本当にわずかずつだったが、京子さんも、見守る実さんも、回復を感じ始めて
いた。
http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201004300184.html